EN

【北京大学就職指導センターに直接取材】コロナ禍の影響で北京大学生の就職状況に変化が!北京大学の就活事情を紹介

目次

北京大学については、先日公開した記事で日本企業への訪問とASIA to JAPANとの提携についてご紹介いたしました。
今回は、北京大学生の就活事情について北京大学就職指導センターに直接インタビューした内容を、コロナ禍以前の2015年とコロナ禍以降の2022年を比較して紹介いたします。(記事内に出てくるアンケートや調査結果などは、すべて北京大学就職指導センターから提供頂いた資料をもとに、抜粋して作成)

 

【北京大学が掲げる目標】

北京大学は、現在大学の世界ランキングで第17位。そして、アジア圏内だと第2位を誇るトップレベル大学です。そんな北京大学が掲げる目標の移行について紹介いたします。比較する内容は、両者共に新型コロナの影響を受ける前のものになりますが、大学として目標とする考え方が世の中の事象の影響を受けていることがわかります。

■北京大学の人材育成目標とは

  • 2007
    – 国と民族のためにグローバルな視点を持つ
    – 各業界でリーダーシップを発揮する
    – 革新的な精神と実務能力を備えた高度人材を育成


  • 2018
    – 世界的にITに向けた育成
    – 経済に向けた育成
    – 国の需要に応える育成
    – 国民の健康と安全に向けた育成

このように、約10年の間で国外で力を発揮するグローバルな成長を目標とすることから、国内の発展に目を向けた目標に移行していることがわかりました。

 

【就職傾向と希望変化】

大学としての目標だけでなく、学生の就職に関する考え方もコロナ禍前後で大きく異なってきました。
学生が考える理想とする就職目標について、2015年と2022年で比較いたします。

【コロナ禍前後で異なる卒業生の動き】

実際にコロナ禍前後で、国内での進学・就職、海外への留学の割合に変動が起きています。

※数値の単位は%

上記の表は、2015年と2022年に北京大学を卒業した学生を項目ごとに比較したグラフになります。対象人数は、2015年が7250名で2022年が9798名になります。(医学部は含まれません)
このグラフを見ると、海外への留学割合が大きく減っていることがわかります。

また、下記グラフを見ると、国内での進学率上昇について確認することができます。

■各項目について
・出国升学:海外留学
・国内升学:国内進学
・就业创业:雇用と起業

■各数値について
・本科生:学部生
・硕士生:修士号取得者
・博士生:博士課程学生

こちらは、北京大学のキャリアセンターが公表している学生の進学、就職事情を数値化したものになります。
2015年の卒業生は、卒業後に海外へ留学する生徒が多かったことがわかります。しかし、2022年ではその人数が大幅に減り、一方で国内での進学、また就職をする生徒が増えていることがわかります。

【学生が就職で大切にしていることTOP3】

  • 2015
    1. ワークライフバランス
    2. 安定感
    3. リーダーや管理職になる

  • 2022
    1. 安定感
    2. ワークライフバランス
    3. 個人的な目標の実現

各種順位が変動しているものの、基本的に就職活動を行う上で学生が大切に思うことは変わらないことがわかりました。
「安定感」がランクアップしていますが、昨今の新型コロナの影響で、中国国内の多くの企業がリストラを実施しました。そのため、雇用面や生活面に対する不安を抱く人が増えてきたことが影響していると考えられます。
事実、学生の多くが就職活動で希望する企業に就職ができなかった場合、どこでもいいから就職先を探す、または翌年も就職活動を行うということはせず、国内の修士課程に進学する選択をします。
その理由が、日本と違い学部と修士では就職できる企業数や、就職後の賃金が大きく異なることがあげられます。

 

【人気がある業界TOP3】

  • 2015
    1. 管理/コンサル
    2. 銀行/金融業
    3. 教育/研究所

  • 2022
    1. インターネット/IT
    2. 銀行/金融業
    3. 教育/研究所

コロナ禍前後で学生に人気がある業界のランキングが変わりました。
コロナ禍以前であるとコンサル業が人気でしたが、より安定かつニーズのあるインターネットやITの人気が上がっています。
銀行や教育・研究関連が人気なのは、将来リストラを言い渡される可能性がとても低く安定して働くことができるため、引き続き人気上位にランクインしています。

 

【学生が企業に求める特徴】

学生が企業に求める特徴の10項目ですが、2015年では個人が成長するための環境が整っているのかという点がとても重視されていました。一方で、2022年では「安定した収入」「安心できる環境」など、働くということになるべくリスクが伴わず、かつ働きやすいということが大切とされていることがわかりました。こちらも前述した通り、昨今行われた企業のリストラや働き口の減少という面が大きく影響していることがわかります。

 

【就職したい企業TOP20の変化】

2015年だと、北京大学卒業生が就職したい企業は大体Goldman Sachsなど伝統的な金融機関、会計やコンサルティング業が上位にランクインしています。
また、国内のトップ金融機関(工商銀行、建設銀行、中信銀行)IT企業(テンセン、アリババ、バイドゥ)が好まれていました。しかし、2022年ではこれらのコンサルティング会社はランク外となりました。
大きな理由が、コロナの影響でコンサル関連の仕事が激減してしまったこと。そして、某国との関係が悪化した影響でさらに需要が減っていったということが原因になります。
そして、2018年から大学として力を入れているIT人材の育成もあいまり、2022年ではIT関連の企業が多くランクインする形となりました。

 

【実際に就職した企業分布】

北京大学の学生が実際にどんな業界に就職をしたのかをご紹介いたします。

2015年から2022年まで、北京大学の卒業生の80%が金融業、IT系、社会系、教育、研究など業界に就職しています。これらは、国の戦略と経済発展で重要とされている業界です。
2022年では、2015年に就職先として1番多かった金融業を抜き、通信系に就職する卒業生が大幅に増えました。その他では、教育系とサービス業は一定的に増加し、公共管理業は現状維持、研究とエンタメは減少しています。この表から、国の経済発展における産業の入れ替わりがあったことがわかります。

 

【2023年の就活事情】 

今年は例年に比べて、特に文系出身者の就職難しくなると言われています。
その理由が、採用対象者が増加するためです。コロナ禍で企業の倒産や仕事の減少により、就職先が見つからず大学院に入学した多くの学生が、今年卒業をするため、新卒としての採用対象が大幅に増加することが予想されています。そのため、優秀な人材であっても希望する就職先から内定がもらえず、大学院への進学、もしくは海外での就職を選択する学生が増える可能性がとても高いです。

 

【まとめ】

今回は、北京大学の就活事情について紹介いたしました。現状の就活事情も含めると、今年は日本企業にとって北京大学の優秀な学生を採用できるチャンスが見込まれます。また、今年はASIA to JAPANが主催で、北京大学や周辺の大学生と繋げる大型の就職イベントを計画しています。
北京大学の学生だけでなく、外国人採用について気になる方は、ASIA to JAPANに気兼ねなくお問い合わせくだい。
●ASIA to JAPANお問い合わせ:https://asiatojapan.com/contact-us-1/

この記事をシェアする!