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外国人留学生の採用ノウハウ公開!面接で見るべきポイントも解説

目次

外国人留学生の採用ノウハウ公開!面接で見るべきポイントも解説

近年では、ダイバーシティ推進の一環として外国人を採用したいという企業も多いのではないでしょうか。そこで、この記事では外国人留学生に焦点を当て、外国人留学生の現状と、採用に踏み切るにあたって押さえておくべきノウハウについてご紹介します。どうやったら応募意欲を上げることができるのか。また、面接ではどういった点を見ることで将来性のある優秀な人材を見極めることができるのか、紐解いていきたいと思います。

日本における外国人留学生の推移

独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の「2022(令和4)年度外国人留学生在籍状況調査結果」によると、2022(令和4)年5月1日現在、日本における外国人留学生数は231,146人でした。内訳を在学段階や国・地域別に詳しく見ていきましょう。

在学段階別

在学段階別の在籍数をみると、最も多い段階から大学(学部)で72,047人、大学院53,122人、専修学校(専門課程)51,955人でした。

※JASSOの2022(令和4)年度外国人留学生在籍状況調査結果をもとにASIAtoJAPANで作成

国・地域別

国・地域別の在籍数をみると、中国からの留学生が圧倒的に多いことがうかがえます。ベトナムが次いでランクインしていますが、両国とも前年度比より減少しています。一方で、3番目に多いネパールからの留学生数が前年度比28.9%増の24,257人と、増加していることが分かります。

※JASSOの2022(令和4)年度外国人留学生在籍状況調査結果をもとにASIAtoJAPANで作成

外国人留学生数の推移

2019年をピークに、外国人留学生数は減少しています。新型コロナウイルスの影響を受けたことが原因として考えられます。しかし、2022年3月以降、水際対策の緩和により、新規入国の留学生は増加に転じています。今後も増加の傾向が予想されるのではないでしょうか。
では、留学生の内訳を在学段階や国・地域別に詳しく見ていきましょう。

※JASSOの2022(令和4)年度外国人留学生在籍状況調査結果をもとにASIAtoJAPANで作成

日本における外国人留学生の就業事情

では、留学生たちは、卒業後にどのような道に進むのでしょうか。日本企業に就職をする人数をみていきたいと思います。
法務省出入国在留管理庁の「令和3年における留学生の日本 企業等への就職状況について」によると、令和3年において、日本に就職を希望し、在留資格変更許可申請を行った留学生は31,955人いました。そのうち28,974人が許可されています。具体的な内訳を見ていきましょう。

国籍別・地域別

国籍別にみてみると、上位から中国9,331人、ベトナム6,885人、ネパール4,403人、スリランカ1,447人、韓国1,117人という結果になっています。留学生在籍数と上位三か国は同じですが、4位には在籍数のランキングには載っていないスリランカからの留学生がランクインしています。

※出入国 在留 管理庁のデータをもとにASIAtoJAPANが作成

業種・職種別

就職先の業種別にみてみると、非製造業が23,434人(80.3%)、製造業が5,281人(18.1%)をであり、非製造業の割合が圧倒的に高いことが分かります。その中でも、卸売業・小売業や学術研究、専門・技術サービスが上位を占めています。
また、職務別にみてみると、最も多いものから翻訳・通訳7,940人(17.1%)、企画事務(マーケティング・リサーチ)3,531人(7.6%)、海外取引業務3,476人(7.5%)、管理業務(経営者を除く)3,356人(7.2%)という結果になっています。

離職率

離職率は採用するにあたり気になるポイントだと思われます。入社3年後の離職率について、株式会社ディスコが公表した「外国人留学生/高度外国人材の採用に関する調査」によると、外国人留学生を採用した企業に調査した結果、「日本人新卒社員と比べて高い」の回答が26.3%、「日本人新卒社員と比べて低い」の回答が15.8%でした。半数以上が「日本人新卒社員と変わらない」と回答していますが、コロナ禍などの影響により、離職する社員の割合がやや高くなったのが現状です。しかし、前年と比較して、減少しているため、今後も減少が期待できると考えられます。

外国人留学生の採用ノウハウ

ここまで、留学生の日本における就職の実情についてみてきました。では、留学生を採用するにために、企業側はどんな点を考慮するべきなのでしょうか。新しく留学生の採用を視野に入れるという企業向けに、いくつかの押さえておくべき採用ノウハウをご紹介します。

日本にとっては当たり前の「募集要項」の分かりにくさ

日本において、「総合職」や「技術職」といった枠で新卒採用を行う企業が多いのではないでしょうか。しかし、これらの募集要項は、留学生にとって分かりにくい場合があります。なぜなら、海外においては、新卒でもジョブディスクリプションに沿ったジョブ型の採用が一般的だからです。よって、留学生の採用を始めるにあたり、ジョブディスクリプションを記載してみましょう。

ジョブディスクリプションの書き方

では、実際にどのような点に注意して書くことで分かりやすく、馴染みのある募集要項にすることができるのでしょうか。項目ごとに解説していきたいと思います。

【募集職種】
新卒募集で記載される「総合職」は、ジョブローテーションを繰り返しながら人材育成に取り組む日本特有の考え方がベースにあります。これでは、留学生が入社後のイメージをしにくいため、仕事内容、研修期間と内容、キャリアプランなどを明記しましょう。

【勤務地】
予定勤務地が決まっている場合は記載しましょう。

【補足】
留学生に向けて、学生目線であったら嬉しい情報を記載しましょう。職場の外国人比率や言語環境、在籍する国籍等が書いてあるといいです。

【給与】
月給のみならず、ボーナスに関しては昨年実績を入れ、1年目の総額年収があると参考になります。

【手当】
手当は給与に準ずる収入と考えられているため、金額を細かく記載するといいです。家賃補助、借り上げ社宅なども留学生にとっては重要なポイントになります。

【福利厚生】
手当同様、細かく記載することを意識しましょう。

【求める人物像】
必要な経験や条件を具体的に記載しましょう。“〇〇な人”という抽象的なイメージではなく、求めるスキルが簡潔に書かれているといいでしょう。

【選考ステップ】
面接の合否がいつ出るのか、次回の面接がいつ決定するのか、丁寧に記載しましょう。職種ごとに、どのような面接を行うか、内容の違いについても具体的に提示するといいでしょう。

ジョブディスクリプションは、ジョブ型雇用を前提としているため、多くの日本企業の雇用形態とは異なるかもしれません。しかし、仕事内容を明記し、詳細情報はなるべく公開することで、留学生にとっても応募しやすい環境を整えることができます。

>ジョブディスクリプションの記事について詳細を見る「外国人学生が気になるJob Descriptionのポイントとは?」

多くの日本企業が誤解する日本語能力の測り方

次に、日本語能力についてです。留学生の採用に踏み切るにあたり、日本語能力を知ることが重要になってくるのではないでしょうか。

株式会社ディスコが公表した「外国人留学生/高度外国人材の採用に関する調査」によると、求める資質の一つとして「日本語力」が最上位に挙げられています。内定時に文系45.5%、理系45.0%でビジネス上級レベル(幅広いビジネス場面で日本語による適切なコミュニケーション能力がある)以上の日本語能力を求める企業が多いのが実態です。また、内定後はさらにその割合は増加し、社員に高いレベルの日本語力を求める企業が多いことがうかがえます。

では、企業の求める日本語能力とは、どのように測ることができるのでしょうか。

日本語能力試験(JLPT)のN1は中学生レベル?

日本語能力を図る際、一般的に使用されているのが日本語能力試験(JLPT)です。JLPTは、N1が一番難しく、N5が一番易しいといったようにレベル分けされています。一番難しいN1と聞き、即戦力としてビジネスの場面での交渉や文書作成が十分にできるレベルとお考えの方もいるのではないでしょうか。しかし、一概にはそうとは言えないのが現状です。N1の目安は、「幅広い場面で使われる日本語を理解することができる」というレベルです。

JLPTは読む、聞くを中心とした試験であり、書く、話すといった面は試験に含まれません。

よって、自ら言葉を生み出す能力は測られていないということです。N1レベルの学生でも、中学生レベルの日本語力と捉えてもらうと分かりやすいでしょう。よって、企業の求める日本語能力を入社前に有している人材は少ないと考えるのが現実的です。

>【セミナーレポート】外国人留学生の見極めポイント ~面接で見るべきは ”日本語能力”ではなく●●?~

面接で見るべきポイントについて

前述のとおり、企業が理想としている日本語能力と多くの留学生の現実には差があるのではないでしょうか。日本語能力は大事なポイントですが、重視しすぎず、他の点についても見ていくことが必要です。

では、面接では一体どういった点を確かめるべきなのでしょうか。二つのポイントに分けて解説します。

学生の思考能力

まず、思考能力の有無を見極める必要があります。思考能力とは、「抽象的な概念や難しい話を論理的に語れる」ことです。

短期的な面接でその見極めが厳しい場合、インターンシップ等の長期的な目で判断するのもいいでしょう。また、専門分野の学びについて詳細に話してもらうことで、どの程度学んでいて通じているかを理解することができます。

これを通じ、学生の学びに対する姿勢や、思考能力について見極めることもできます。日本語でのやり取りにおいてその力を発揮できない学生もいるため、英語や母語での面接を行うことも視野に入れるといいのではないでしょうか。

学生のスキル面

また、学生のスキルに着目するのもいいでしょう。スキルがある学生は伸びる可能性があるため、長期的に日本語や仕事に必要なスキルを伸ばしていくことが可能なのではないでしょうか。ここで、会津大学の例を交えて考えていきます。

会津大学とは、英語のみで授業を行う「イングリッシュ・トラック」を提供する、コンピュータ理工学に特化した大学です。在籍する学生のうち、留学生が13%を占めており、日本企業に求められる日本語能力を満たすための日本語クラスも開講されています。しかし、メインの学習を優先したスケジュールでは、日本語の授業が履修できない場合もあり、日本語学習に手が付けられない学生も多くいます。

コンピューターサイエンスのスキルを持つ優秀な人材でありながらも、日本語能力が重視されると、採用に至らない場合もあると考えられます。しかし、会津大学の学生たちは、学生時の日本語能力こそ低くとも、日本語学校や専門学校の生徒より短期間で日本語を習得できているといいます。ここから、面接段階の日本語能力と優秀な人材が必ずしもイコールではないことがうかがえます。面接の際は、スキル面を参考にし、入社後に育てていく考え方もいいのではないでしょうか。

>留学生数が減少。 JASSO最新調査の分析と、継続採用を実現するための施策を考える会津大学 草刈氏とWebセミナーを開催しました

まとめ

この記事では、外国人留学生の日本における就職の実態と、企業が留学生を採用するにあたり、どのような点を考慮すべきかの採用ノウハウについてご紹介してきました。これらを参考にし、今後の外国人留学生の採用について検討いただければと思っています。しかし、新しく取り組み始める企業にとっては、不安や懸念点も残っているのではないでしょうか。

ASIA to JAPANのサービス

ASIA to JAPANでは、外国人学生の日本における就職支援に注力しており、日本語教育から採用、内定後の受け入れサポート(就労ビザ取得、来日サポート等)を一貫して行っております。よって、応募率を上げるようなジョブディスクリプションの書き方、具体的な採用ノウハウについて、より詳しくご説明することができます。また、世界トップレベルの優秀な学生とのマッチングを実現しており、優秀な人材の紹介も可能です。少しでも気になることがある方は、ぜひお気軽にご相談ください。

 

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