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アメリカ&イギリスの海外大生の本音1/日本の就活スケジュールがわからない

目次

日本の就活スケジュールがわからない

海外の大学に進学し、現地で専攻分野と語学、異文化を学ぶ日本人留学生。バイタリティ溢れる優秀な学生たちですが、実は彼ら・彼女たちの多くが就職活動に困っていることをご存知でしょうか。

海外から日本の就職活動の様子はなかなか見えず、日本の大学生が当たり前に知っている就職活動の情報やノウハウも分からない。

ASIAtoJAPANは、そんな状況で日本企業への就職を目指す海外大生のリアルな声を聞くべく、座談会を行いました。アメリカとイギリスの大学に通う8人の日本人学生の本音を6回に分けてご紹介します。

<<プロフィール>>

Aさん(イギリス/King’s College London/国際関係学専攻/3年生)

Bさん(イギリス/University College London/社会学専攻/3年生)

Cさん(アメリカ/UC Berkeley/映画学専攻/4年生)

Dさん(イギリス/University of Birmingham/コンピューターサイエンス専攻/3年生)

Eさん(イギリス/University of Essex/国際関係学専攻/2年生)

Fさん(イギリス/University of Cambridge/エンジニアリング専攻/修士生)

Gさん(アメリカ/Purdue University/ホスピタリティー専攻/卒業見込み)

Hさん(アメリカ/UCLA/コミュニケーション学専攻/4年生)

海外大生が就活を意識し始めるタイミングはバラバラ

——いつ頃から就活を意識し始めましたか?

G(アメリカ/Purdue University):僕はホテルに就職することを目的にアメリカの大学へ行ったので、最初から就職は意識していましたね。実際に動き始めたのは2022年秋ごろで、終わったのが2023年4月です。

ホテルのホームページから直接アプライしましたが、1週間で返信が来るところもあれば数ヶ月音沙汰ないところもあって、結構時間が掛かってしまいました。最終的に外資系の有名ホテルに就職が決まって、7月から日本で働く予定です。

H(アメリカ/UCLA):私は今年のロサンゼルスキャリアフォーラムからですね。トランスファー(別の大学への編入)後すぐにボストンキャリアフォーラムに参加して内定をもらっている人もいましたが、アメリカの場合、ほとんどの人は3年生のロスキャリから就活を始めると思います。

C(アメリカ/UC Berkeley):僕はまさにトランスファーをきっかけに、去年のボスキャリから就活を始めました。というのも、トランスファー先で海外大生の就活支援サービス企業の人から「24卒、24.5卒は今から動いた方がいい」と言われて。

その時はすでに9月末で、ボスキャリまで1カ月ほどしか猶予がなく、慌てて準備をして臨み、とりあえず総合コンサルから内定を獲得することができました。次のボスキャリでは戦略コンサルを受け、その結果次第で最終的な就職先を決める予定です。

F(イギリス/University of Cambridge):私は去年の夏頃から何をしたいか考え始めて、実際に動き出したのが今年3月頃。面接の練習がてら企業に応募をし始め、キャリアフォーラムへの参加は夏の東京キャリアフォーラムが初です。

具体的には、情報通信系かメーカーの情報工学系のエンジニアを志望しています。通信系企業から一つ内定をいただいているので、これからメーカーを受ける予定です。

B(イギリス/University College London):僕はもともとロンドンで就活をしていて、日本の就活は今年4月のロンドンキャリアフォーラムから始めました。

イギリスの就活は2年生の8〜9月に始まって、10〜11月にピークを迎え、2〜3月に終息していくスケジュールだったので、4月のロンキャリにうまい具合に移っていけましたね。もしかしたらボスキャリまで伸びるかもしれませんが、今のところ東京キャリアフォーラムで終えようと考えています。

D(イギリス/University of Birmingham):僕も4月のロンキャリから本格的に就活を始めました。その時に同級生が思ったよりしっかり準備していることに気づいて「これはやらないとまずい」と焦りましたね。

卒業後は大学院への進学を考えているので、就活を終えるのは1年先(※)になるかもしれません。ただ、就活と大学院の勉強の両立は厳しいので、進学前に就職先を決めてしまうのが理想ですね。

※イギリスの大学院は1年制

A(イギリス/King’s College London):僕は2年生ぐらいからやらなきゃという気持ちはあり、どの業界を目指すかを考えていました。ようやく外資系銀行か外資系監査法人という方向性が決まったので、秋のボスキャリで決めたいと思っています。ほぼ一発勝負ですね。

海外大生は就活スケジュールを知らない?

——日本の場合は一般的な就活スケジュールがありますが、海外大生の場合は特にないのでしょうか?

A(イギリス/King’s College London):スケジュールは本当に分からないです。そこそこ日本人が多い大学だとエージェントの人が来て説明してくれたりもするけど、そうじゃないと何も分からないんじゃないかな。この間話したポーツマスの大学の人は何も知らない感じでした。

D(イギリス/University of Birmingham):僕はバーミンガムですが、近所の大学ではほぼ情報が回っていないようですね。

C(アメリカ/UC Berkeley):僕の場合はエージェントがオンキャンパスで海外大学生用のおおよその就活スケジュールを紹介してくれていたので助かりましたが、そのセミナーに来られる人は限られるので、情報格差はかなり大きいと思います。H(アメリカ/UCLA):あとは日本人コミュニティの存在も大きいですよね。私の学校の場合、JSA(日本人学生会)が結構大きくて、就活情報もそこから得られます。

F(イギリス/University of Cambridge):うちの大学にも日英会という日本人学生会があり、たまにエージェントの方が来てくださって就活について説明してくれる機会がありました。

ただ、やはりそこに来なければ情報は得られません。日英会のFacebookページでキャリア情報が得られることも、日英会に出入りしていないと知らないだろうと思います。

E(イギリス/University of Essex):うちの大学の場合はそもそも日本人が少なく、日本人コミュニティが狭い分、みんな情報を共有しています。

私は1年生から就活をしていますが、今年卒業した日本人の先輩から「就活は早めに始めた方がいい」と言われたのがきっかけです。その助言がなかったら、1年生から就活をやろうとは思わなかったかもしれないですね。

A(イギリス/King’s College London):海外大生の就活も日本化しつつありますよね。以前はもっと緩く就活をする人も多い印象でしたが、コロナ禍を経て短期間で一気にやる人が増えた気がします。日本の就活も2〜3年生でほぼ終わる感じだと思いますが、海外大学生の就活もそれに近くなってきたというか。

日本の就活のスケジュールが海外大学とは合っていない

H(アメリカ/UCLA):スケジュールでいうと、気付いたら選考が終わっていたことが結構ありました。日本の就活の全体スケジュールは分かるけど、企業や業界による細かい違いまではなかなか掴めないなと思います。

G(アメリカ/Purdue University):僕も希望していたホテルに応募すらできなかったことがありました。ホテル業界は人手不足なこともあり、外資系ホテルは通年採用が基本ですが、日系ホテルの新卒採用は一括採用で、応募時期が決まっていますから。

F(イギリス/University of Cambridge):通年で選考をやっている企業もあるけれど、コンサルや商社などに限られる印象です。私がやりたいエンジニアリング分野で日系企業にチャレンジするには一括採用の応募スケジュールに合わせるしかないけど、今年の3〜4月は試験期間で思うように動けず、歯がゆい思いをしました。つくづくイギリスの大学のスケジュールと合わないのを感じます。

D(イギリス/University of Birmingham):僕は自分が何年卒なのかがよく分からないです。イギリスの場合、学年が終わるのが6月で、卒業式は6〜9月と大学によって異なります。これから大学院に進学して1年間過ごし、2025年の夏に卒業した場合、25.5卒になるんですかね?

A(イギリス/King’s College London):イギリスの大学院に通いながら就活した知り合いは、2022年夏に卒業し、働き始めたのは2023年4月だったそうです。9カ月ほどプー太郎になってしまったという。

G(アメリカ/Purdue University):海外大生の場合、そもそも最後の学期まで卒業できるか分からないじゃないですか。日本の大学では3年生までにほぼ単位を取り終え、4年生になった時点で卒業はほぼ確定していることが多いけど、海外大学だと4年生までしっかり単位を取らなければいけない。

日本の大学生の就活スケジュールに合わせて就活をしたとしても、海外大生は自分が本当に卒業できるか不安があるわけで、そういう精神状態で就活をするキツさもあるなと思います。

 

続きはこちら:

アメリカ&イギリスの海外大生の本音2/大学によって就活の情報量には格差がある

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