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【第一生命テクノクロス株式会社】日本とインドをブリッジする人財を求め、インド現地採用を強化

目次

【お話を伺った方】
DX推進本部 DX変革推進部 Head of GCC Delivery Enablement Team General Manager 岩元慎弥 様

日本とインドをブリッジする人財を求め、インド現地採用を強化

第一生命テクノクロス(以下、DLTX)はインドのプネで採用活動を本格化しています。なぜこのような取り組みをすることになったのでしょうか?

第一生命グループは2030年に目指す姿として「グローバルトップティアに伍する保険グループ」を掲げています。
それを実現するためのIT・デジタル戦略として「IT・デジタル人財の内製化」を挙げており、インドにシステム開発拠点としてグローバルケイパビリティセンター(企業がグローバルに事業を展開していく上で、特定の業務や機能を担う拠点。以下、GCC)を設立し、DXを推進することを目指しています。

このGCCプロジェクトの一端を担うのが、DLTXです。ただ、これまでは第一生命の子会社として国内での仕事が中心でしたので、英語での開発に対応できる体制がありませんでした。
そこで日本とインドを言語、文化の両面からブリッジする組織を作り、インドとの開発をスムーズに進めることを目的に、日本語と英語が話せるバイリンガル人財採用を進めています。

その一環として強化しているのが、インドからの採用です。インドの文化を理解しながらインド人メンバーとのコミュニケーションができ、かつ日本語が話せる人財を求めて、インドの中でもプネに焦点を当てて採用を進めています。

なぜプネだったのでしょうか?

2024年4月よりインドの現地調査を進める中で、日本語学習者の状況についても調べていました。その結果、プネが最も日本語教育が盛んで、魅力的だと感じました。

インドには多数の言語がありますが、プネで話されているマラーティー語は日本語に非常に近い言語であり、文法がほぼ一緒です。そのため、インドの中でもマラーティー語話者の日本語習熟度は高い傾向にあり、また日本語の発音も非常に流暢です。

また、日本国内で採用したインド人メンバーにもプネ出身者は多く、彼らと現地の日本語教育機関について話をする中で、AtoJ Hiramekiを知りました。
AtoJ Hiramekiはプネで日本語教育を展開する、最も有名な教育機関だと聞き、その活動内容を調べる中で、ASIA to JAPANとコンタクトを取り、現在では日本語授業プログラムにスポンサーとして参画しています。

スポンサードした日本語クラスの受講学生たちとの交流会を開催

 

日本語学習にスポンサーとして参画する二つの目的

プネでは具体的にはどのような活動をしているのでしょうか?

プネ大学及び傘下の大学に通う理系学生を対象とした無料日本語授業に、スポンサーとして参画しています。学生は1年半にわたり、AtoJ Hiramekiが提供する日本語授業で日本語を学び、最終的に日本企業への就職を目指すプログラムです。

この取り組みの目的は大きく二つあります。一つは、採用。エンジニアリング専攻をはじめとした理系の学生に向けて長期的な日本語教育を行うことで、当社が求めるバイリンガル人財の裾野を拡大する狙いがあります。

もう一つは、ブランディングです。DLTXという当社の社名を冠した日本語授業を提供することで、採用において重要となるインドでの知名度を向上させたいと思っています。
今後は現地に赴いて会社説明会を行うなど、学生と直接コミュニケーションを取りながら当社の訴求を行い、最終的な採用につなげていく予定です。プログラム自体1年半にわたりますので、長期的にスポンサーとして支援していければと思っています。

取り組みへの反応はいかがですか?

弊社の役員と共に現地を訪れましたが、学生、先生方の双方とも、非常にレベルが高いことが確認できました。
前向きに日本語を学んでいる学生の姿を役員に見せることができ、また帰国後に経営層へ写真と共に報告をしたことで、インドで多くの学生が積極的に日本語を学んでいることを伝えられ、取組の理解がさらに進んだと感じています。

また、現地では日本語学習の人気が高まっているように感じました。欧米企業のニーズが落ちてきている一方、日本ではIT人財が将来最大79万人不足すると言われており、さらに少子高齢化で若手の採用が困難ですから、インド人にとってチャンスは大きいのだと思います。

まだスポンサーになって数カ月ですが、「日本語の勉強を頑張ったらDLTXという会社に行けるチャンスがある」という認知が形成されつつあるようですので、引き続き学生のモチベーション向上につなげていければと思います。

 

インド訪問時には大学にも足を運んだ

 

プネの学生の日本語力の高さに、社内の風向きが変わった

実際に「日本語ができるインド人」の採用を進める中で、どのような手応えを感じていますか?

2025年2月の面接会へ参加した際に、2026年4月入社としてAtoJ Hiramekiの卒業生4名から内定を承諾してもらいました。来日したその卒業生と日本人メンバーが直接会ったところ、多くが日本語レベルの高さに驚いていました。これまではインドからの人財と一緒に開発をすることに対し、少し身構えていたところがありましたが、「日本の開発部門に配属しても問題なさそうだ」という感覚に変わったのを感じています。

加えて、インド人内定者の4名は大学でしっかりシステム開発を学んでいます。これは採用後に育成を行う日本人採用と大きく異なる点で、海外ではポジションに対してスキルがある人財を採用するのが基本です。だからこそ、学生たちは職を得るために大学で専門性を身に付けています。

要するに、業務に必要なスキルを既に身につけている学生が、さらに日本語を身につけているわけです。そうしたインド人学生が入社することで、同期となる日本人への刺激ともなるのではと考えています。

「日本語レベルの高さ」とは、どの程度の水準なのでしょうか?

まず前提として、あらゆる言語において日常会話を含め完璧に理解できる水準になるには相当の時間がかかります。当社としても完璧に日本語が話せる人財を採用しようとは考えておらず、システム開発を中心とした業務で必要な日本語が使えれば十分だと考えています。

その上で「レベルが高い」と思うのは、日本人が聞き取りやすい発音や流暢さ、そして日本文化が重視する丁寧さを持ち合わせている点です。入社後にIT分野に焦点を当て、さらに日本語を学んでいけば、普通に業務ができるだろうとイメージできるレベルの日本語力でした。

私はシンガポールでの駐在経験があり、さまざまな国の人が話す日本語を耳にしてきましたが、やはりマラーティー語の話者は日本語が非常に上手で、流暢です。
例えば、シンガポールは約7割が中華系で、同じ漢字圏であることから日本語能力試験のN1保持者がそれなりにいます。
一方、プネの内定者はN3レベルですが、日本語の流暢さはプネの内定者の方が上だと感じます。やはりマラーティー語と日本語の文法がほぼ一緒なことが大きいのでしょうね。

加えて、AtoJ Hiramekiがビジネスシーンで求められる丁寧さや礼儀をしっかり教えているのだと思います。立ち振る舞いに関しては違和感がないレベルでした。

 

 

今後のインド・プネの現地採用について、どのような期待がありますか?

毎年一定数のインド人学生が入社すれば、社内の外国人財比率は増えていきます。どの部門にもバイリンガル人財がいる状況になれば、海外との開発に対する心理的な壁も低くなります。そのためにも、まずはインドのGCCの活用を推進し、バイリンガル人財の採用規模も増やしていきたいと思います。

そして、我々のスポンサーシップが一助となり、さらにプネの日本語学習の熱が高まり、日本で働きたいインドの若者がより多く育ってくれることを願います。

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