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【セミナーレポート】海外エンジニア×新卒採用を勝ち抜く企業の共通点

目次

ASIAtoJAPANは10月26日、株式会社LabBaseと共同webセミナー「海外エンジニア×新卒採用を勝ち抜く企業の共通点〜国別・大学別の最新動向から知る〜」を開催しました。

セミナー前半では弊社代表 三瓶より、海外エンジニア採用の動向やポイントについて解説しました。後半はLabBase 社の加茂氏と海外エンジニアの新卒採用を成功に導くポイントについてパネルディスカッションを行いました。

国内の理系学生採用に詳しいLabBase社とのコラボレーションにより、海外と国内採用の違いについて理解を深め
● 今後、海外エンジニア採用をしてみたい
● 海外エンジニア採用の受入れ課題が知りたい
企業様にお役立ていただける内容となりました。本記事では、その一部をご紹介します。


トークテーマ:
● 世界レベルのリクルーティング活動や国内採用の追加ニーズへの対応
● 国別、大学別の特徴と目的にあわせた採用方法について
● 海外エンジニア×新卒採用に成功している企業の共通点

登壇者:
株式会社ASIA to JAPAN 代表取締役 三瓶 雅人

モデレーター:
株式会社LabBase 代表取締役CEO 加茂 倫明 氏

運営・司会進行:
株式会社LabBase LabBase就職事業本部 戸田 光 氏

 

国・地域別の採用難易度

セミナー前半で三瓶より海外採用の国内でのニーズや動向、海外の就活事情について解説しました。海外採用を行うにあたり、前提知識として海外と日本の就活の違いについて理解しておく必要があります。

海外には日本のような新卒一括採用をしている国はほとんどなく、海外大生の就活時期はバラバラ。すぐに働くことが求められるケースも多いので、卒業後に就活を始める学生も珍しくありません。

このような就活事情のため就業経験のない学生のポテンシャルを見て、採用を決める日本の新卒採用は海外の学生にとって魅力的に映ります。

ただし、OECDのデータ(2021年)によると日本の平均賃金は34カ国中24位。欧米諸国の平均賃金を大きく下回り、韓国やイタリアよりも低い順位です。当然、日本より賃金が高い国からエンジニア採用するのは難しい状況。平均賃金が日本よりも低いアジア諸国から、海外エンジニア採用を目指すことが現実的です。

セミナーではインド、中国、台湾、香港、韓国、タイ、マレーシア、インドネシアなど各国の学生の採用難易度をご紹介しました。一部の国と地域を抜粋してご紹介します。

インド

インドは非常にエンジニア採用がしやすい国です。ただし、日本語を話せる人はほぼいないため日本語能力の条件は緩和する必要があります。
インドの理系トップIIT(インド工科大学)は採用が難しいと思われていますが、超トップ層を除けば日本の年収でも採用することができます。

 

香港

香港の学生は英語を問題なく話すことができ、グローバルな活躍が期待できます。採用難易度は「難しい」から「やや難しい」に若干下がったため、今年は採用できるチャンスがある地域です。

 

インドネシア

インドネシアは英語や日本語を話せる学生も探しやすく、海外就職にも抵抗がありません。採用難易度は容易、海外採用で非常に狙い目な国です。

 

海外エンジニアの新卒採用を成功させるポイント

後半のパネルディスカッションでは、海外エンジニアの新卒採用を勝ち抜く企業の共通点をお話ししました。まずは海外エンジニア採用を成功させるためのポイントをいくつか抜粋してご紹介します。

 

ポイント① トップの号令が必要

加茂氏:海外エンジニアの採用に成功する、人材獲得に成功する企業の共通点を教えていただけますでしょうか?

三瓶:やはり第一にトップの号令が必要です。
海外大生の採用では、1次面接、2次面接とフローが進んでいく中で、面接官が英語ができないなどの不安要素があると、本人のスキルというより採用側の原因で落ちてしまうことがあります。その結果、海外エンジニアの採用が滞ってしまいます。また人数目標を設けておらず「いたらいいな」くらいの認識ですと、自然と海外の学生の採用はなくなってしまいます。
トップが今年は何人と目標を掲げ、進捗を確認するような流れが望ましいです。

 

ポイント② スピーディな選考

日本と海外の採用におけるスピード感の違いは日本企業、そして海外大生の両者が認識しておく必要があります。一般的には海外の方が選考がスピーディなため、日本企業も海外大生向けの選考フローを検討する必要があるでしょう。

三瓶:日本は新卒一括採用ですが、海外はポジション別採用です。経験がなくてもよいポジションに新卒が流れていきます。そのため中途採用のようにポジションを早く埋めようと、海外では選考スピードがとても早いです。日本企業が採用までの流れを作って調整をしていると、その間に応募者がいなくなってしまいます。

加茂氏:中途採用と同様に、海外の方がどんどんフローが流れてポジションが埋まっていくので日本のスケジュールのまま進めると逃してしまうこともあるということですね。

三瓶:そうです。たとえば、ある企業は採用フローに工場見学が必須で、それを調整している間に応募者がいなくなってしまうということもあります。

 

ポイント③ 学生に寄り添う担当者

前項で解説した採用スピードの違いのほか、履歴書や面接において日本独特の採用スタイルがあります。海外の学生に寄り添って、日本スタイルの就活について事前説明やフォローすることが海外エンジニア採用成功で重要なポイント。これにより就活文化の違いで学生を見誤ることなく、本人のスキルやポテンシャルを知ることができます。

三瓶:日本の選考期間や履歴書の書き方、面接について教えてあげる必要があります。日本の企業は「何がしたいのか」を聞きますが、海外は「何ができるか」が重要なので、日本の面接について教えないと学生が60分間の面接でしゃべり倒してしまうこともあります。それでは日本の面接は落ちてしまいますので、学生に寄り添う担当者を置き「この学生はどうしたら自社に受かるか」を考えてあげないと進めるのが難しいです。

加茂氏:なるほど。海外人材の採用をしたことがない企業や人事チームだと、なかなか難しいと思いますがファーストステップはどうしたらよいでしょうか?

三瓶:たとえば留学経験がある方に「この学生を受からせることがあなたの目的」として学生に寄り添う担当を任せます。採用は別途行うことを伝えれば、問題なく進めることができます。

加茂氏:選考担当とは別にメンター的な担当者を採用時に置くということですね。

 

ポイント④ 給与提示の違いを理解する

加茂氏:海外エンジニアが就職先に求めることや彼らに選んでもらうために必要なポイントはどのようなことでしょうか?もちろん国やそれぞれの学生さんによって違うと思いますが、国内の採用とは別に意識した方がよいことはあるのでしょうか?

三瓶:海外はポジション別採用かつ中途採用のような形で採用が行われているので、給与のレンジが日本とは全然違います。あるポジションでは200万円、別のポジションでは500万円と同じ企業でも大きく異なります。日本の新卒採用では基本的に初任給は一緒ですよね。その点を理解してもらう必要があります。たとえばIT系で絶対に海外エンジニアを採用したいのであれば、少し年収を上げなければいけないケースも出てきます。
また、海外の方は年収交渉をしてくる場合があります。「給料をもうちょっと上げてもらえないですか」と言われると日本の感覚だと驚いてしまうかもしれません。海外では普通のことですので、対応できなくても知っておく必要はあるかなと思います。

 

海外エンジニア採用後に必要なフォロー

海外エンジニアの採用に成功した後、自社で長く活躍してもらうためには適切なフォローが必要です。これまで300人以上の海外大生の日本就職をサポートしてきたASIAtoJAPANの経験をもとに解説しました。

 

フォロー① 別部署にメンターを置き定期的な会話をする

三瓶:残念ながら外国人社員が退職してしまうときに、どうして退職するのかはとても重要なポイントです。退職の際に初めて人事の方が声をかけても、本音を引き出すことはできません。退職しないために定期的な会話をしつつ、残念ながら退職する場合も関係性ができていれば「あなたはよくしてくれたので本音を言うんだけど…」と話が聞けるので、今後の組織づくりに活かすことができます。外国の方は日本人よりも定期的な会話を求める傾向がありますので、ぜひ実施していただくとよいと思います。
このようなメンターは別部署で対応することが重要です。メンターを直属の上司のような同じラインに入れてしまうと、この会話は成り立ちません。

加茂氏:業務の上長、部下とは別の関係で、寄り添ってメンタリングする「斜めの存在」が重要ということですね。

三瓶:そうです。特に日本に来たての頃は友達も少ないですし、文化の違いなどでいろいろ悩むことも多いので、定期的に「どうですか?」と気にかけてあげるとよいと思います。

 

フォロー② 業務内容と昇給の見直し

加茂氏:外国のエンジニアの方が活躍する組織づくりで、何か気をつけることはありますか?

三瓶:その大学のレイヤーにもよるのですが、たとえばIIT(インド工科大学)出身の方が離職してしまうケースで最も多いのは、スピード感が思い描いていたものと違うというものです。
「もっと難しいこと、もっと新しいことをやりたい」「去年と同じことをやっていると遅れをとっているのではないか」と不安に駆られてしまいます。そのため、どんどん新しい業務を渡していくことができると長く在籍していただけると思います。1年目はこれ、2年目はこれ、3年目はこれ…と業務が決まっていると、辞める原因になってしまうかもしれません。

加茂氏:スピード感が思ったより遅いというのは、彼らにとっての比較対象は何かあるのでしょうか?そもそもスピード感が速いことを期待しているのはそもそも何故ですか?IIT出身の方はスタートアップでのインターン経験があり、それと比較しているなどでしょうか。

三瓶:たとえばIIT出身ですとGAFAMのような企業に就職している人もいます。そうするとお正月にインドへ帰った際に「昇進した」「給料はこれくらいもらっている」という話もしますので。(中略)給料を上げてしっかり待遇をすれば、辞めることは少ないのですが、日本人と同じような待遇だとIITなどトップクラスの方は「自分大丈夫かな」と不安に思います。場合によって他社から引き抜きがあり退職になるケースもあります。

加茂氏:採用段階のお給料も大事ですが、入社後の昇給のスピード感も離職の原因になり得るということですね。

 

フォロー③ 来日前の日本語学習支援

加茂氏:これまでのお話と重複する部分もあると思いますが採用決定後にやるべきことはありますでしょうか?

三瓶:おすすめしているのは、事前の日本語学習です。海外の学生の多くは6月に卒業し、早くて10月入社、遅いと4月の入社です。時間がありますので、その間にお金を出して日本語を学んでもらうと日本に来てから、とても楽になります。
日本語は日本に来た後に、自然に覚えるだろうという意見もあるのですが、社会人になる変化や異国に来る変化、さらに言語の変化もあるので、彼らの負担は大きいです。前もってできるのは、言語の変化への対策ですので事前に機会をあげるのは非常に重要なフォローだと考えています。

加茂氏:なるほど、日本語学習の支援を会社として具体的にやってあげられることはどのようなことがありますか?

三瓶:ASIAtoJAPANでもサービス提供をしていますが、来日前の日本語学習プログラムの受講がよいと思います。プログラムに申し込み、カリキュラムを作って、入社前に日本語学習を進めておくことができます。

>> ASIAtoJAPANの日本語学習プログラムの詳細はこちら

 

ASIAtoJAPANはこれまで150社以上の外国人採用をサポートしてきました。優秀な海外大生を日本へ無料で招待し、採用面接を行うイベントを開催しています。海外エンジニア採用にお困りの企業様はぜひお気軽にご相談ください。

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