【出張レポート】タイ学生の現状 〜注目すべき地方大学の優秀な学生たちとは〜
ASIA to JAPANは、2024年6月20日〜25日にかけてタイの現地大学を訪問し、日本就職を目指す学生に向けた説明会や8月開催予定のイベント「FAST OFFER with NIKKEI」(以下:8月イベント)への誘致を実施しました。
この記事では訪問した大学の紹介や、現地学生の就活事情についてご紹介します。
■今回訪問した大学
・コンケン大学(Khon Kaen University:KKU)
コンケン大学はタイにおける高等教育の地方分権開発計画の一環として1964年にタイ北東部の主要大学として設立された国立総合大学で、常に変化する世界で働く未来を見越したグローバル人材を育成しています。医学部、工学部、農学部が特に人気があり、なかでも医学部の付属病院は東北地域の高度医療センターとして機能しているため難病の人の受け入れをしています。コンケン大学がある東北地方の主な産業は農業のため、農学部は農産物を扱うタイの有名企業と共同で農作物や家畜の研究をしています。
今回の訪問では8月のイベント紹介や、8月から開始する日本語講座の説明会を実施しました。
・チェンマイ大学(Chiang Mai University:CMU)
チェンマイ大学は1964 年 1 月にプミポン・アドゥンヤデート国王陛下の勅許により、タイ政府の政策と北部の人々の目的に基づき、地域と国全体に利益をもたらす学術および職業知識の中心として設立されたタイ初の州立総合大学です。チェンマイ医学校を前身とする医学部は国内有数の規模と業績があります。
今回の訪問では8月のイベント紹介や、8月から開始する日本語講座の説明会を実施しました。
・タマサート大学(Thammasat University:TU)
タマサート大学はタイが王政から民主主義体制へと移行した2年後の1934年に、法学者であり首相、元老などを務めたプリーディー・パノムヨンが「タイに初めて導入された民主主義をタイ国民に教育する大学を設立したい」という考えによって創設された、タイで2番目に古い国立大学です。
今回の訪問では8月のイベント紹介をしました。
・チュラロンコーン大学(Chulalongkorn University:CU)
チュラロンコーン大学は1917年に設立されたタイで最初の高等教育機関であり、学術的学習と専門的卓越性の中心地としてその使命を担っている最も古い歴史を有する国立大学です。設立当時は医学部、行政学部、工学部、文理学部の4学部のみでしたが、現在は42の学部や研究所なので組織されています。現在に至るまで国内第1位の大学であり入学試験が最も難しい大学でもあります。奨学金制度が充実し優秀な学生が集まっているので、どの学部も国内屈指のレベルを誇ります。そして日本語学科はタイ国内でトップレベルの日本語教育が行われているため多くの学生がN1を保有し、さらに日本に精通した学生が多数います。
今回の訪問では8月のイベント紹介や、8月から開始する日本語講座の説明会を実施しました。
・キングモンクット工科大学ラートクラバン校(King Mongkut’s Institute of Technology Ladkrabang:KMITL)
キングモンクット工科大学ラートクラバン校は日本政府の技術支援を受けて、前身である電気通信訓練センターとして1960年にノンタブリー県に設立され、4年後に大学へと変更された国立大学です。同校では国内初の電気工学分野の博士課程を開設しています。
今回の訪問では8月のイベント紹介や、8月から開始する日本語講座の説明会、そして新たにMOUの締結をしました。
■タイ学生
・引き上げられる初任給
コンケン大学で説明会をした際に学生の就職事情についてお会いした教授に質問したところ、コンケン大学の学生がもらえる初任給が2万THB※(約8万円)に上昇していると伺いました。昨年末訪問した際は平均で1.5万THBと伺っていたため、地方エリアでも賃金上昇の傾向が見受けられました。タイは日本と同じく都心部と地方で平均給与に差がありますが、バンコクと地方では倍の価格差があると言われています。
※THB:タイバーツ(タイの通貨)
・注目は地方大学
チュラロンコーン大学やマヒドン大学、タマサート大学などバンコクエリアにある大学は採用担当者に人気がありますが、年々引き上がる給与や整ったインフラ、生活用品が簡単に手に入る利便性の向上が関係しているのか、日本就職を検討する学生が近年減少傾向にあります。一方でコンケン大学のような地方大学も給与が上がっているもののバンコクエリアに比べるとまだ差があり、さらにバンコクほど企業の注目度は高くありません。コンケン大学はタイ国内でも上位の大学であり優秀な学生が多く通っています。今タイ人材の採用を検討するのであれば、倍率が高いバンコクエリアの大学生ではなく地方大学生が狙い目です。
■「All Thai」第6期が8月開講
ASIA to JAPANは「日本語で面接ができるレベルに理系大学生を育成すること」を目的に、タイ国内の理系大学生を対象としたオンライン日本語講座「All Thai」を2018年より無料開講しており今年で7年目を迎えます。そして8月より新たに約90人の学生を迎え6期目のプログラムをスタートします。
日本企業の面接担当者の多くが「日本語で面接をしたい」と希望していますが、日本語を話せる理系大学生はほとんどいません。そのため理系外国人材の日本語話者を育成するべく、学生に無料で授業を開講しています。前期までチュラロンコーン大学、キングモンクット工科大学ラートクラバン校、コンケン大学と協力しAll Thaiを開催しておりましたが、キングモンクット工科大学ラートクラバン校が個別講座を持つ運びとなったため新たにチェンマイ大学を迎え理系学生の日本語話者育成に取り組みます。
■キングモンクット工科大学ラートクラバン校とMOU締結
今回の訪問でキングモンクット工科大学ラートクラバン校とMOUを結ぶことが決まりました。
All Thaiでも軽く触れましたがキングモンクット工科大学ラートクラバン校とは今回のMOU締結以前から協力関係にあり、学生の日本就職のサポートをしていました。
今回の締結をもってキングモンクット工科大学ラートクラバン校はAll Thaiから抜け、新たに理系学生向けの個別プログラムをスタートいたします。8月開講予定ですがすでに80名以上の応募があり今後も応募数が増えることが予想されます。
※MOU(Memorandum of Understanding)=合意文書(覚書)
■まとめ
今回の訪問で得たタイ学生の就活事情などをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
“日本就職のきっかけ”を無料で支援されることに対し、訪問するどの国の学生も疑問を抱いており説明会で必ず質問されます。
そこで今回は、先日開催されたFAST OFFER(ASIA to JAPANの面接イベント)で日本企業への内定が決まったキングモンクット工科大学ラートクラバン校学生に帯同していただき、実体験について参加学生に語っていただきました。先輩学生の体験談を聞くことで学生たちの不安や疑問は解消され、さらにモチベーションも上がったことを確認できました。
ASIA to JAPANで毎月開催している面接イベントではタイの学生だけではなく、アジアを中心としたトップレベルの大学に通う優秀な学生たちと面接いただけます。
当イベントだけでなく海外の高度人材採用へのご関心、また採用後から入社までの手続き方法など気になることがありましたら、お気軽にASIA to JAPANへお問い合わせください。