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【世界大学ランキング】“最新”2024年度版! THE世界大学ランキングをもとに アジアの大学順位を考察!

目次

【世界大学ランキング】“最新”2024年度版! THE世界大学ランキングをもとに アジアの大学順位を考察!

この記事では、イギリスの高等教育専門誌「Times Higher Education(通称:THE)」が毎年発表している、「The Times Higher Education World University Rankings(THE世界大学ランキング)」のランキングをもとに、アジアの大学順位について考察していきます。

もし、そもそも「世界大学ランキング」とは何か?について知りたい方がいたら、以下の記事を先に読んでいただくとより理解が深まります。

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【世界大学ランキング】そもそも“世界大学ランキング”ってどうやって決めるの?

The Times Higher Education World University Rankingsとは

通称「THE」と呼ばれる“The Times Higher Education World University Rankings”は、毎年秋ごろに翌年の世界大学ランキングを公表しており、世界的にも影響力がある指標です。主に研究面や、国際性などに比重が置かれたランク付けとなっています。
(評価基準については、前回記事のこちらをご覧ください)

 

【世界大学ランキング】トップ100位

9月27日に公表された、最新の2024年度ランキングを紹介します。
ランクインした大学については、昨年の2023年度、そして10年前の2014年度のランクと比較します。その上で、アジアの大学の動向を見ていきます。

2024年度ランキング

※オレンジの文字で記載した個所:アジア圏内の大学
※( ) :アジアの大学内での順位

World University Rankings 2024をもとにASIA to JAPANが作成

 

上昇傾向にあるアジアの大学

全体を見てみると、アメリカやイギリスの大学が多くランクインしていることがわかります。オックスフォード大学は、8年連続でランキングのトップをキープしています。一方で、トップ5にランクインする大学内の順位に変動が見られます。スタンフォード大学が2位に浮上し、ハーバード大学は2つ順位を下げて4位にとなりました。

アジア勢を見てみると、トップ100位に19の大学がランクインし、そのうち7割近くが昨年度に比べて順位を上げています。

●アジアの大学内でのトップ3位

1位が中国の「清華大学」、2位も同じく中国の「北京大学」、そして3位がシンガポールの「シンガポール国立大学」でした。アジアトップである清華大学は、昨年度の16位から順位を上げ12位となり、まもなくトップ10入りも間近となっています。
その他、中国圏内の大学も軒並み順位を上げていることから、中国の高等教育環境が世界を台頭できるレベルまで改善されてきていることがわかります。

●日本の大学のランクイン

東京大学が29位、京都大学が55位にランクインしました。中国に比べて数は少ないですが、両大学ともに順位を上げています。

 

【世界大学ランキング】国/地域別ランクイン数

続いて、国や地域別にトップ100位とトップ200位でどれだけランクインしているのか見てみましょう。

2024年度ランキング

※オレンジの文字で記載した個所:アジア圏内の大学

World University Rankings 2024: the 20th editionをもとにASIA to JAPANが作成

 

アジアの筆頭は中国

トップ200位を見てみると、アメリカを筆頭にイギリスとドイツが、ランキングの大半を占めていることがわかります。
アジア勢としては、中国が突出して13校が選ばれており、2番目の韓国と比べても2倍多くの大学がランクインしたことがわかります。
日本勢は、200以内であれば東京大学と京都大学に加え、東北大学が130位、大阪大学が175位、そして東京工業大学が191位にランクインと、合計5校が選ばれました。

 

各国/地域の評価されているポイントは?

最後に、各国/地域で評価されているポイントを見ていきます。

2024年度のTHE世界大学ランキングでは、Overall/全体、Teaching/教育、Research Environment/研究環境、Research Quality/研究の質、Industry/産業、International Outlook/国際性の各項目が評価の対象としてポイント化されています。
こちらも、200位以内にランクインした大学を国や地域ごとに分け、各項目の平均点を出しました。

地域ごとのポイント表

※オレンジの文字で記載した個所:アジア圏内の大学
太文字:アジア圏内で80ポイント以上獲得

World University Rankings 2024 “score”をもとにASIA to JAPANが作成

 

アジアの大学の評価内容

まず初めに、この数値は200位以内にランクインをした大学を地域ごとに分け、平均値を出したものになります。
そのため、国によって対象校の数に差があるため、全て同条件にて算出したものではありません。
あくまでも参考として、アジアの大学はどの点が評価されたのかを紹介します。

アジア圏の大学は、全体的に産業(産業収入や特許)の項目で高評価を得ていることがわかります。
特に日本の産業のポイント数は、全28カ国中トップの99.98ポイントを獲得しています。

高ポイントのシンガポール

全体の数値を見てみると、シンガポールが教育以外全て80ポイントを超える、高ポイントを獲得しています。そして、唯一の教育も72.50と決して低い数値ではありません。

国内の大学数が、短大や美術系を含めても13校しかない(海外大学のキャンパスは除く)中、2校が選ばれ高ポイントを獲得できているところを見ても、シンガポールの教育水準が高く、研究環境が整っているということがわかります。

日本の大学

改めて日本の大学について見てみましょう。
産業の評価がとても高いですが、その他に関しての平均は低い値となっています。特に「研究の質」と「国際性」は、他国と比べても最下位に近い数値であることがわかります。

なぜ日本勢があまり上位に選ばれていないのか。あくまでも推測ですが、THEの評価基準が影響しているのではと考えています。中でも気になるのが、

  • 論文の引用数
  • 大学院への進学率
  • 人材のスカウト の3点です。

まず、評価の一つに「論文の引用数」がありますが、この評価対象となるのは「英語系の論文」のみなのです。そのため、英語圏の大学が特に有利な選定を受けやすくなっています。

次に、「大学院への進学率」が挙げられます。文部科学省が実施した2022年の学校基本調査によると、大学院への進学率は12.4%と少なく、評価基準の「博士と学士の比率」や「研究の質」という面で、評価ポイントが低くなっているのではと考えられます。

そして最後に、学長よりも高額な給与を与えられないという給金面の問題で、世界の優秀な人材(講師や研究者)を容易にスカウトしづらいということが挙げられます。もし、世界基準の優秀ない人材を招き入れることができれば、研究レベルも向上し、「研究の優秀性」や「研究の影響力」、そして「引用の影響」などの評価ポイントを上げることができるかもしれません。

 

まとめ

THEが公表する世界大学ランキングを、さまざまな視点から紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
今回ランクインをした大学だけが、優秀な大学であるというわけではありません。残念ながら、評価の対象外となってしまった優秀な大学も世界中にあります。
ランキングは、あくまでも物差しを具体的にするツールです。全てを鵜呑みにするのではなく、ランキングに内包する情報を理解し、他の情報と掛け合わせることで、自身が求める人材の選択をより明確に行えるようになるでしょう。

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