【2024年度調査】外国人留学生の進路状況|国内就職2.4万人と技人国採用への示唆

最初に押さえる3つのポイント

2024年度に日本の大学・大学院・専修学校(専門課程)などを卒業・修了した外国人留学生は64,331人でした。日本国内で就職したのは24,353人で、前年度から1,665人増加しています。進路が判明した62,838人に占める国内就職者の割合は38.8%です。

大学院修了者(博士・修士・専門職学位課程の合計)の国内就職者数は6,536人で、前年度から886人、15.7%増加しました。一方、国内就職者全体の約44%は専修学校(専門課程)修了者です。

この調査の国内就職者数は、技人国で就職した人数や、これから自社が採用できる候補者数を示すものではありません。本記事では、JASSO(日本学生支援機構)の最新の進路状況調査をもとに、外国籍人材の採用、主に在留資格「技術・人文知識・国際業務」(以下、技人国)での採用を検討する人事担当者に向けて、結果と採用計画を立てる際の着眼点を整理します。

なお、今学んでいる留学生の人数(在籍状況)については「留学生数が過去最多の40万人超え。2025年度JASSO調査から読み解く、留学生採用のポイントと「量」が増えた背景」で解説しています。本記事の「出口」のデータと併せてご覧ください。

調査の概要:何を・いつ・どう数えているか

JASSOの外国人留学生進路状況調査は、留学生の卒業・修了後の進路(就職・進学・その他)を、日本国内/出身国・地域/日本・出身国以外の国・地域に分けて集計する調査です。今回の対象は2024年4月1日から2025年3月31日までの卒業・修了者で、2025年10月時点の大学等からの回答に基づいています。

項目 内容
対象者 在留資格「留学」で、大学(大学院含む)・短期大学・高等専門学校・専修学校(専門課程)・準備教育課程を卒業(修了)した外国人学生
対象期間 年度単位(2024年度版=2024年4月〜2025年3月の卒業者)
集計時点 2024年度版は2025年10月時点、2023年度版は2024年12月時点の大学等からの回答
公表時期 2023年度版は2025年4月、2024年度版は2026年5月。対象年度と公表年を区別して読む
区分 学種別(博士・修士・学部・専門学校など)、専攻区分別、出身地域別

読む際には、対象者と構成比の分母を確認する必要があります。

  • 日本語教育機関(日本語学校)は「参考」として別集計で、上記の合計には含まれません。2024年度は65,489人が修了し、うち6,442人が国内就職しています。
  • 構成比は、進路「不明」を除いた人数を分母にしています。本記事の「国内就職者の割合」は、就職希望者を分母とした就職率ではありません。また、この調査では就職先の職種・業種・企業規模や、就職時の在留資格は分かりません。別統計である入管庁の在留資格変更の集計は、後半で参考情報として紹介します。

全体:進路判明者の約8割が国内の進路を選択

2024年度の卒業・修了者のうち、進路が判明した人の78.7%は、国内の就職・進学・その他のいずれかに分類されています。これは卒業後の進路を示す割合であり、長期的な定着率ではありません。国内就職者数は前年度比7.3%増で、卒業・修了者総数の伸び(5.5%増)を上回りました。国内就職者の構成比は38.1%から38.8%へ、0.7ポイント上昇しています。

指標 2023年度 2024年度 増減
卒業(修了)者数 60,958人 64,331人 +3,373人
日本国内で就職 22,688人(38.1%) 24,353人(38.8%) +1,665人
日本国内で進学 16,990人(28.5%) 18,880人(30.0%) +1,890人
日本国内でその他 6,480人(10.9%) 6,211人(9.9%) −269人
日本国内 計 46,158人(77.5%) 49,444人(78.7%) +3,286人
出身国(地域)へ 11,997人(20.1%) 12,261人(19.5%) +264人
出典:JASSO「外国人留学生進路状況調査」2023年度・2024年度。日本語教育機関は含まない。構成比は進路不明者を除いて算出。人数差・増加率・ポイント差は公表値から算出。

国内の「その他」は6,211人ですが、公表資料では詳しい内訳を確認できません。この人数を、そのまま就職活動中の候補者数として扱うことはできません。既卒者の採用を検討する場合は、大学等のキャリアセンターに、就職活動を継続している学生の状況を確認することが有用です。

学種別:専門学校・学部に加え、大学院の増加にも注目

国内就職者数は、専修学校(専門課程)が10,723人、大学学部が6,406人です。大学院は博士・修士・専門職学位課程を合算すると6,536人でした。前年度からの増加数は、大学院合計が886人、専修学校が517人、大学学部が344人です。増加率は、大学院合計が15.7%、専修学校が5.1%、大学学部が5.7%でした。大学院を合算する場合と、各課程を個別に比べる場合とで比較単位が異なる点に注意が必要です。

学種 卒業・修了者総数 国内就職者数(構成比) 前年差(人数) 国内進学の構成比 出身国・地域での進路の構成比
専修学校(専門課程) 24,727人 10,723人(43.5%) +517人 40.9% 8.4%
大学(学部) 16,749人 6,406人(39.2%) +344人 24.0% 24.1%
修士課程 13,135人 4,408人(35.2%) +457人 19.5% 28.8%
博士課程 4,516人 1,556人(37.3%) +312人 1.4% 41.2%
専門職学位課程 1,664人 572人(35.4%) +117人 1.8% 34.6%
短期大学 631人 471人(75.1%) −87人 15.9% 2.4%
準備教育課程 2,769人 205人(7.4%) −3人 77.7% 12.4%
高等専門学校 140人 12人(8.6%) +8人 77.9% 10.7%
出典:JASSO 2024年度・2023年度調査より作成。構成比は各学種の進路不明者を除いた人数に対する割合。「前年差」は国内就職者数の増減。

人数と構成比を併せて見ると、学種ごとの違いが分かります。

  • 専修学校修了者は、国内での就職・進学・その他を合わせた割合が91.1%です。国内就職の構成比は43.5%、国内進学は40.9%で、就職と進学の両方が主要な進路となっています。
  • 大学学部卒では、国内就職が39.2%で最も多く、国内進学が24.0%、出身国・地域での進路が24.1%です。国内就職者数は増えていますが、構成比は前年度の39.6%から0.4ポイント低下しました。一方、大学院合計では、国内就職の構成比が32.6%から35.7%へ3.1ポイント上昇しています。人数の増加と割合の上昇は、分けて確認する必要があります。
  • 博士課程修了者では、41.2%が出身国・地域での進路に分類され、22.7%は出身国・地域での就職です。ただし、この結果だけで帰国理由や就職意向は分かりません。研究・技術分野の採用では、日本での就職意向と、希望する研究・キャリアの方向を個別に確認することが大切です。

専攻別:工学系は、学種によって増減が異なる

専攻区分別の国内就職者数は社会科学が10,420人で最も多く、前年度から1,203人増加しました。工学は5,397人で226人減少しています。工学を学種別に見ると、専修学校では2,696人で372人減少した一方、大学院では2,009人で123人増、大学学部では575人で50人増でした。工学系全体の減少を、そのまま大学・大学院の動向として読むことはできません。

専攻区分 国内就職 2024年度 国内就職の構成比 前年差(人数)
社会科学 10,420人 56.3% +1,203人
工学 5,397人 49.3% −226人
人文科学 3,261人 22.1% +109人
芸術 1,538人 34.7% +424人
家政 450人 39.1% −20人
保健 417人 28.9% +25人
理学 372人 26.5% +37人
農学 285人 25.0% +52人
教育 239人 37.1% +28人
出典:JASSO 2024年度・2023年度調査(大学院・大学学部・短期大学・高等専門学校・専修学校の合計。準備教育課程を除く)。構成比は各専攻の進路不明者を除いて算出。専攻区分「その他」は表から省略しているため、掲載行の合計は専攻別総数と一致しません。

参考:在留資格変更の統計から見る留学生の就職

入管庁「令和6年における留学生の日本企業等への就職状況について」は、2024年中に「留学」等から日本企業等への就職を目的とする在留資格変更が許可された39,766件を集計しています。JASSOとは対象者と集計期間が異なり、国内就職者24,353人の内訳を示すものではありません。両統計の人数を合算したり、増減を直接比較したりすることはできません。

  • 変更許可後の在留資格では、技人国が31,393人(78.9%)で最も多くなっています。ただし、2023年から特定技能1号および特定技能1号移行準備を目的とする特定活動への変更申請が集計対象に加わっているため、過去の技人国の比率と比較する際は集計範囲の違いに注意が必要です。
  • 職務内容では、翻訳・通訳が12.5%、情報処理・通信技術が9.5%、管理業務(経営者を除く)が8.7%、海外取引業務が4.7%です。これらは技人国だけに限定した割合ではありません。
  • 就職先の業種では非製造業が86.4%を占めます。ただし、企業の業種と在留資格で認められる業務は別です。小売業や宿泊業の企業への就職事例があっても、販売・接客などの業務が一律に技人国の対象となるわけではありません。自社で実際に担当する職務を確認する必要があります。

国内留学生だけで母集団を考えない

ここからは、アジアを中心とした海外大学の新卒人材と日本企業の採用を支援してきたASIA to JAPANとして、今回のデータをどう読むかをお伝えします。結論は、技人国での採用、特に理系・技術職の採用では、国内留学生の採用に加え、募集職務や採用人数に応じて、海外大学の学生にも候補者層を広げることが選択肢になるということです。

1. 「出口」(進路)と「入口」(在籍)をセットで見る

進路状況調査は、すでに卒業した人の結果です。一方、2025年5月1日時点の在籍状況調査では、専修学校(専門課程)が前年比39.8%増、日本語教育機関が30.7%増と大きく伸びたのに対し、大学院は3.1%増、大学学部は5.7%増にとどまりました(詳しくは在籍状況の解説記事)。今後の卒業者は、専門学校・日本語学校を経由した人の比重がさらに高まる可能性があります。今回、大学院修了者の国内就職が15.7%伸びたからといって、高度人材の母集団が同じペースで増え続けるとは限らないでしょう。

2. 大学・大学院の理系留学生の国内就職者は約3,000人

大学院・大学学部の工学系で国内就職した留学生は、2024年度で合計2,584人(大学院2,009人、学部575人)でした。理学系372人を加えても、全国の国内就職実績は約3,000人です。このうち、自社が求める専門分野や日本語力、勤務地などの条件に合う人材は、さらに限られます。現在の採用可能人数を示す統計ではありませんが、国内留学生の候補者層を無制限に見込めるわけではないことを踏まえ、十分な候補者を集めにくい場合は、海外大学からの採用にも対象を広げることが有効な選択肢となります。

3. 海外大学からの直接採用を、もう一つの選択肢として持つ

JASSOの調査は日本国内で学ぶ留学生だけが対象で、海外の大学で学ぶ学生は含まれません。当社が現地で接しているインド、インドネシア、マレーシア・タイなどには、日本での就職に関心を持ち、日本語を学ぶ理系学生がいます。海外大学の卒業者も、学歴と職務の関連性などの要件を満たせば技人国の対象になりえます。ただし手続きや受け入れ準備は、国内留学生の採用とは異なります。

観点 国内の留学生 海外大学の学生
本調査で確認できる国内就職実績 年間24,353人が国内就職(全学種・全専攻、2024年度) 本調査の対象外。国・大学を選んで接点をつくる
主な在留資格手続き 「留学」からの在留資格変更許可申請 在留資格認定証明書の交付申請後、現地で査証申請
日本での生活基盤 日本での生活経験がある 来日・住居・生活立ち上げの支援が必要
日本語力 日常生活で使う機会が多いが、業務に必要な能力は個別確認が必要 個人差が大きいが、海外でも日本語力を伸ばすことは可能
入社時期 日本の新卒スケジュールに合わせやすい 現地の卒業時期と手続き期間から逆算する

留学生を技人国で採用する前のチェックリスト

内定前から次の点を確認し、候補者本人や学校と必要な情報を整理しておくと、在留資格変更の準備を進めやすくなります。以下は主な確認事項であり、許可を保証するものではありません。最新の制度・必要書類や個別のケースは、出入国在留管理庁の案内、行政書士、管轄の出入国在留管理局に確認してください。

  • 学位、専門士・高度専門士等の取得見込みと専攻を確認し、必要に応じて認定学科の該当状況を確認した
  • 配属予定の業務内容と、履修した専攻・科目との関連を説明できる
  • 日本語学校修了者は、母国の大学卒業など、技人国の申請に用いる学歴・資格等の要件を満たすか確認した
  • 報酬が、同じ業務に就く日本人と同等以上になっている
  • 専門知識等を必要とする業務の内容と業務量を説明でき、単純作業が中心となる配属になっていない
  • 在学中のアルバイトについて、資格外活動許可の範囲内か確認した(原則週28時間以内。複数の勤務先を合算し、長期休業期間は別の取扱いがある点にも注意)
  • 入社時期から逆算した在留資格変更申請のスケジュールと、卒業できなかった場合の対応を決めた

まとめ

2024年度の国内就職者数は24,353人に増加しました。大学院合計では国内就職者数と構成比がともに上昇した一方、大学学部では人数が増えても構成比は低下しています。採用を検討する人事担当者は、留学生全体の人数だけでなく、自社の募集職務に合う学種・専攻、就職意向、卒業・修了時期を確認し、在留資格の要件を踏まえた職務設計を進めることが大切です。そのうえで、国内だけで必要な専門人材を確保しにくい職務は、海外大学からの採用も視野に入れることをおすすめします。

※なお、本調査は日本国内で学ぶ留学生が対象であり、海外大学から直接採用する外国人学生の進路を示すものではありません。

定点指標(構成比は進路不明者を除く) 2023年度 2024年度
卒業(修了)者数 60,958人 64,331人
国内就職者数(構成比) 22,688人(38.1%) 24,353人(38.8%)
日本国内の進路を選択した割合 77.5% 78.7%
大学院修了者の国内就職者数 5,650人 6,536人
学部卒の国内就職者数 6,062人 6,406人
専修学校卒の国内就職者数 10,206人 10,723人
社会科学系の国内就職者数 9,217人 10,420人
工学系の国内就職者数 5,623人 5,397人
工学系(大学院・学部)の国内就職者数 2,411人 2,584人

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出典

※人数差・増加率・ポイント差、約44%、工学系(大学院・学部)の合計は、公表値から算出しています。構成比は原則として公表値を使用しています。大学院合計には博士・修士・専門職学位課程を含みます。

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