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2021年唯一の北米オンキャンパス説明会『FAST OFFER』 レポート~11大学で開催
(2/2)日本人留学生のコロナ禍の就職事情

目次

FAST OFFER レポート USA

【2】日本人留学生のコロナ禍の就職事情

これまでアメリカの日本人留学生の多くは、毎年11月に開催される『ボストンキャリアフォーラム』で就職活動をしていました。全米からボストンに日本人留学生が集まり、日本企業の選考を受けていましたが、コロナ禍でフォーラムはオンライン化。開催期間が長くなったことで、いつ何をしたらいいかがわからず、戸惑う学生も少なくありません。
また、多くの学生が就職に向けてネットワーキングに力を入れており、これまでは主に各大学の日本人会で情報交換が行われていました。ところがコロナ禍でコミュニティ形成がしづらくなり、活動も縮小。就職活動や企業の情報を得る機会が減っています。

そのような日本人留学生に向けて、ASIAtoJAPANは『FAST OFFER』の説明会を開催。日本の就職事情や就職活動のやり方など基本的な情報を伝えると同時に、FAST OFFER参画企業を紹介しました。

各大学で行った説明会には10〜30人ほどの学生が参加。少数ですが、日本語が話せる外国人学生も集まりました。説明会には1年生も多く見られ、コロナ禍で先が見えない中、早めに情報収集をする動きがあることがわかりました。今後は参加学生と随時オンラインで面談を組み、志望する企業との選考を設定する予定です。

【3】就職活動に関する、日本人留学生の勘違い

日本人留学生と接する中で、就職に対して誤った認識を持つ学生が散見されました。代表的な例を紹介します。

誤解1. インターンシップをしないとその会社に就職ができない

アメリカではインターンシップをしたのち、そのままその企業に入社するのが一般的な就職の方法です。

一方の日本では、経団連の倫理憲章でインターンシップからの新卒採用が禁止されています。
(2021年度のアクションプランとして『「ジョブ型採用につながるインターンシップ」の具体化、試行的実施に向けて検討を継続』と発表(※1)

二つの国の違いを知らずに、「日本企業でインターンシップができないから就職もできない」と困っている学生も。

誤解2. アメリカで就職ができる

トランプ政権からバイデン政権に変わったものの、アメリカで外国人が就労ビザを取得するのは依然難しい状況です。留学生の一部はそのままアメリカで働くことを希望していますが、実際に就職できるのはほんのわずかの超優秀層のみ。その事実に、就職活動を始めてから気付くケースは珍しくありません。

この誤解が生じる理由の一つに、「OPT(Optional Practical Training)」(※2)という制度があります。大学で学位を取得した外国人が申請できるもので、一つの学位につき、取得後一年間アメリカでの就労が可能に。

中でも「STEM(Science, Technology, Engineering and Mathematics)」に該当する理系の学生はさらに二年間の延長ができ、合計三年間アメリカで働くことができます。

ただし、OPT終了後に正社員として就業を継続する道は非常に狭く、日本に戻らざるを得ないケースがほとんど。その場合、日本では中途採用扱いとなり、転職に苦労する人もいます。

誤解3. 「何ができるか」のアピールが最も重要

日本の就職活動では「なぜこの会社を希望しているのか」「この会社で何をしたいのか」を問うのが一般的ですが、アメリカではジョブディスクリプションに応じた「自分は何ができるのか」のアピールが求められます。

このギャップから日本人留学生は、日本企業との選考時に能力や経験のアピールに偏重し、企業への志望動機が薄くなりがち。面接がうまくいかないケースが見られます。

【4】日本企業がアメリカの日本人留学生を採用するポイント

日本企業がアメリカの日本人留学生を新卒採用する際は、2つの点に注意する必要があります。まず一つは給与です。日本とアメリカの2020年大卒者の平均初任給は以下の通り。約250万円もの差が生じています。

 

【日本】平均316万4000円
※初任給平均額22万6,000円に2カ月分のボーナスを加味して計算(※3)

【アメリカ】平均5万5260ドル(日本円で約585万円)
※2020年平均為替レート1ドル106円で計算(※4)

 

ハーバード大学経済学部の日本人学生によると、アメリカのヘッジファンドの二カ月間のインターンシップに参加した際の給与は300万円。インターンシップ参加者の90%が採用となり、その際の年収は1800万円だそうです。その学生は戦略ファームからもインターンシップのオファーを得ており、そちらも月収は100万円とのこと。

これは極端な例ですが、アメリカ企業と日本企業で新卒の年収水準に大きなギャップがあることは念頭に置いておかなければいけません。アメリカと日本の物価はおよそ1.5~2倍ほど異なるという点についても説明をすると安心です。

もう一つは、海外勤務のキャリアパスを示すこと。ほとんどの学生が海外との仕事や海外勤務を希望しているため、入社後にどのようなチャンスがあるのか、示すことが重要です。

また、ベンチャーや中小企業であれば、インターンシップで日本人留学生を受け入れることをお勧めします。卒業後帰国予定の人や日本の会社の情報も得たい人を中心に、日本企業でのインターンを切望している学生は一定数いますが、受け入れ先が少ないのが現状。そのぶん優秀な学生を採用するチャンスは大きいです。

時差はありますがオンライン参加を受け入れるか、もしくは夏休みなどの長期休暇を利用したインターンシップの受け入れができると良いでしょう。

ASIAtoJAPANは引き続きアメリカの日本人留学生の就職活動をサポートをしてまいります。
北米の後、10月にはカナダとイギリスの大学を回り、オンキャンパス説明会を実施しましたので、そちらのレポートもぜひご覧ください。

アリゾナ州立大学
説明会の様子(アリゾナ州立大学)

 

(関連リンク)
※1 採用と大学教育の未来に関する産学協議会2020年度報告書「ポスト・コロナを見据えた新たな大学教育と産学連携の推進」
※2 【アメリカで働ける!?】OPT(オプショナル・プラクティカル・トレーニング)のすべて(ロサンゼルス留学情報館)
※3 厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査の概況』
※4 NACE(National Association of Colleges and Employers)『SALARIES FOR COLLEGE GRADUATES CLIMB DESPITE PANDEMIC』

 

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