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【2023年度版】日本の大学に通う中国人留学生の推移を紹介!

目次

【2023年度版】日本の大学に通う中国人留学生の推移を紹介!

突然ですが、今どれだけの留学生が日本にいるか知っていますか?
JASSO(日本学生支援機構)の【「2022(令和4)年度外国人留学生在籍状況調査」等結果の公表について】によると、2022年5月の段階で231,146人の留学生がいることが公表されました。その中で、最も多いのが中国人留学生です。
今回は、この中国人留学生の実態について紹介します。

中国人留学生の推移

2022年時では、留学生全体の半分近くの人数を占める、103,882人の中国人留学生が日本で勉学に励んでいます。次に多いベトナム人留学生が37,405人なので、いかに多くの中国人が留学しているのかがわかります。
では、いつ頃から増えてきたのか、中国人留学生の推移を確認してみましょう。

24年間で変化する留学生の人数

※JASSO「外国人留学生在籍状況調査結果」をもとにASIA to JAPANが作成

留学生全体の推移

上記のグラフを見ると、留学生全体(青色)の推移は2019年までほとんどが右肩上がりということがわかります。2014年のタイミングで留学生の人数が大幅に増えているのは、2013年に東南アジアの訪日ビザ免除・緩和が行われたのが大きな要因と考えられます。そして、2020年に蔓延した新型コロナの影響で、それ以降は下方の一方をたどっています。しかし、2023年にコロナ禍における対策のほとんどが解除されたため、今後は以前のような推移になるかもしれません。

中国人留学生の推移

次に中国人留学生(橙色)の推移を見ると、2013年まで全体の7割近くが中国人留学生で占めていたことがわかりました。2014年以降は、東南アジアからの留学生が増えてきたこともあり、全体の半数ほどとなりましたが、公開されている期間(1999年〜2022年)の間、常に一番留学生が多い国として君臨し続けています。

中国留学する日本人の推移

ここまでで日本には、多くの中国人留学生が勉学に励んでいることがわかりました。一方で、留学先として中国で学ぶ日本人はどれ程いるのでしょうか。

※JASSO「日本人学生留学状況調査」をもとにASIA to JAPANが作成

こちらも、年々留学に向かう日本人が増えていたことがわかります。その中で、中国を留学先として選ぶ人も多く、ほとんどの年がトップ10にランクインしていました。しかし、コロナ禍以降海外へ容易にいけなくなってしまった事で留学者の数が減り、中国では度重なるロックダウンの影響なども重なり、ランク外となってしまったため細かい数値がわからないという結果となりました。

なぜ中国人の学生は留学先に日本を選ぶのか?

ここまで、全体の推移を見てきました。ではなぜ、中国人留学生は留学先として日本を選ぶのでしょうか?その理由の中で、注目したい3つを紹介します。

人気留学先の中でも安い学費

生活をするには、居住費や食費など何かしら費用がかかります。そして、学生だけが学ぶために必要となる費用、それが「学費」です。中国で人気の留学先である、アメリカやイギリスなど欧米に比べると、日本の学費は安くすみます。また、円安の関係で日本の家賃や生活費なども安く抑えることができるので、日本への留学は手頃だと考えられています。

充実した奨学金

中国人留学生に限らず、日本には留学生のための奨学金が豊富に揃っています。留学生への支援は、政府やJASSOだけでなく、数多くの公益財団が独自の奨学金制度を設けています。また、国立大学では「学費免除や一部免除」、そして成績優秀者は「給付型奨学金」制度が充実している点も含め、資金面においても留学先候補として検討されやすくなっています。

差し響く米中対立

コロナ禍以降、米中の関係がより悪化の一途を辿っています。その関係で、今まで留学先として最も人気があったアメリカへの留学も、容易には行かなくなりました。特に最近では、アメリカ人の多くが中国に対して良くない印象を持っていたり、中国人に対して嫌悪感抱いていたりと、多くの中国人留学生が現地人からの偏見と直面をしています。そのため、自国からも近く、安心かつ安く学べる日本が留学先としてより人気が高まっています。

中国人学生の卒業後の進路

次に卒業後の進路について紹介します。
コロナ禍以前の流れでは、学び先で卒業を迎えた後、母国・中国への帰国を選択する人が増加傾向にありました。その理由が、中国の大都市で就職ができれば、日本よりも高い収入が期待されるからです。しかし、コロナ禍以降の中国国内は就活氷河期を迎えています。

その原因は、新型コロナによって国内の企業が倒産したり、人員削減のためにリストラが行われたりと、雇用先が減少してしまったこと。就職先が見つからなかった当時の学生が、大学卒業後に大学院へ進学をすることで新卒枠を再度狙うという動きが定石化したこと。そして、少ない雇用枠を狙って、大学、大学院、留学などの卒業生が一斉に就活を行うという状況になっています。

一方で、一定数の留学生は引き続き日本に留まることを希望し、日本で就職活動を行います。母国語である中国語はもちろん、日本語も話せる学生が多いため、海外進出を意識した企業に通っては魅力的な人材と言えるでしょう。しかしこちらも、外国人材の受け入れ準備が整っている企業を探し出せないなどの影響もあり、なかなか思うように就職先が見つからないなどの問題も発生しているのが現状です。

ASIA to JAPANで内定が決まった中国人学生

ASIA to JAPANでは、日本での就職を希望する海外の学生に、日本で働くきっかけづくりを行なっています。
その主なきっかけづくりの場が、現地の提携大学で年間のプログラムを組んで無料で開講する「日本語講座」や、優秀な若手外国人の採用を希望する企業とマッチングを行う「FAST OFFER」です。FAST OFFERを通じて日本の企業に就職することができた、中国人留学生の事例をご紹介いたします。

 事例1:内定先企業 建材・水回り設備・住宅設備製造業群

大学:早稲田大学
学部:情報工学部
学歴:博士
※詳細の記事はこちら

中国東北大学で学士、シンガポールの南洋理工大学で修士を取得済。その後、早稲田大学へ留学。
友人がFAST OFFERを利用し、日本の企業で働くことができたため、日本で働く機会を得たいと思い、同プラットフォームを利用。当時、FAST OFFERのWeChat公式アカウントに掲載された求人情報に、希望する企業を見つけたため、6月のFAST OFFERに応募をした。しかし、そのタイミングでは日本語のレベルに自信が持てず、また準備が足りなかったため面接を諦めた。改めて9月のタイミングで別企業から面接の通知を受ける。ASIA to JAPANのサポートによって無事内定を獲得。

事例2:内定先企業 二輪車、ボートや船外機などの水産物、その他の電動製品のメーカー。

大学:上智大学
学部:機械工学部
学歴:博士
※詳細の記事はこちら

江蘇科技大学で構造設計の研究を行い学士取得後、上智大学へ留学。JLPT N1を取得しており、日本語は流暢に話すことができる。
日本で5年間勉強し、日本の風土や社会、職場に対して一定の理解があった。待遇や発展の将来性を総合的に考慮した上で、最終的に日本で就職活動を行うことにした。就活開始直後は、周りの日本人学生と同じように資料収集、エントリーシート記入、ネットテスト受験、面接の準備を行う。このプロセスで、多大な時間と精力を費やした。エントリーシートは、会社ごとに質問やフォーマットが異なるため、一つを作成するにも数時間もかかった。同時に博士論文を執筆していたため、就活に時間を割くのが難しく、卒業前の就職を諦めたいと考えることもあった。しかし、FAST OFFERを通じて面接できる企業と出会い、無事内定を獲得。

事例3:内定先企業 オートバイを中心とした輸送用機器を製造するメーカー

大学:吉林大学・京都大学
学部:経済学部
学歴:修士
※詳細の記事はこちら

吉林大学卒業後、京都大学大学院に進学し経済学を専攻する修士学生。学士課程在籍中から日本語を勉強し、JLPT N1を取得するなど日本語レベルが高い。中国語、英語、日本語を話すマルチリンガルでグローバルな活躍が期待できる。選考を受ける中で、日本語が壁となった。中国国内では、特に「金融業界」において競争がとても激しく、常に上に行かないと淘汰されるような環境であるため、別の場所に行きたいと考えていた。そして、日本で働きたいと思ったきっかけは、働きたいと思える企業に出会えたため。

留学生により恩恵を受ける経済効果

実は、中国人に限らず留学生が日本に来ることで、経済において少なからず恩恵を受けていることがあります。例えば、留学先である大学や大学院、専門学校などの学費、家賃、生活にかかる個人の消費、大学が申請できる補助金など、留学生が増えれば増えるだけ経済効果が見込まれます。

BEA(アメリカ合衆国商務省 経済分析局)が公開する「U.S. Education Service Exports」によると、2021/2022学年度中、100万人近くの留学生を受け入れたとのこと。それによる経済効果が376億8,000万USDあったそうです。また、335,423人以上の留学生がアメリカ企業の雇用を支えたと報告しています。

ASIA to JAPANに相談

ASIA to JAPANでは、海外の主要大学と提携しており、現地大学内で年間を通して行う日本語学習などを通じて、海外の学生に日本への就職のきっかけを提供しています。また、優秀な学生と企業とをオンライン・オフラインを通じて理想的なマッチングを実現いたします。就職決定後に、企業が必要なサポートを次々と充実させていくことで、双方のギャップを解消し、活躍するまで丁寧に支援しています。
中国人留学生に限らず、外国人採用で不安な事がありましたら、気兼ねなくお問い合わせください。

まとめ

中国人留学生が日本の留学生の割合の半分近くを占めていること、そして卒業後も日本で働くことを希望する学生が多いということを初めて知った人も多かったと思います。コロナ禍における渡航制限もなくなり、インバウンドも回復しつつあります。留学生の人数も回復だけでなく、今まで以上に増えていくかもしれません。

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