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【セミナーレポート】インド工科大学(IIT)採用を徹底解説!2023年の最新動向

目次

インド工科大学(IIT)は全部で23のカレッジからなる、インド最高峰の理系大学群です。

入学は世界最難関とも言われ、優秀な理系学生の宝庫。Google CEOサンダー・ピチャイ氏をはじめ、世界で活躍するリーダーやエンジニアを輩出しており、世界中の企業が採用に乗り出しています。

インド工科大学での採用に関心をもったとしても、日本での情報収集は難しく次のような疑問をお持ちではないでしょうか。

  • インド工科大学の学生はどうやって採用するのか?
  • 日本の採用と異なるインド独自のルールがある?
  • 高額な年収オファーが必要?
  • 日本企業は実際に採用できているのか?

 

ASIA to JAPANは1月26日に、Webセミナー「インド最高峰の理系大学で、大手企業にIT人材を輩出するインド工科大学の2022年採用振り返りとIIT採用支援課担当者と2023年のトレンド予測!」を開催しました。セミナーにはインド工科大学の担当者2名にも参加いただき、大学・学生側のリアルな意見も伺いました。本記事ではセミナーでご紹介した内容をもとに、インド工科大学の採用について概要から具体的な採用戦略まで徹底解説しました。

 

私たちASIA to JAPANは、インド工科大学23校すべてにコネクションを持っています。2022年度のインド工科大学(IIT)採用に日本企業のサポートとして参加し、合計130名を超える採用を実現しました。

今後もインド工科大学採用に関する最新情報を発信していきます。情報収集中、採用を検討している企業様はぜひお気軽にASIA to JAPANへお問い合わせください。

 

インド工科大学(IIT)採用のメリット

インド工科大学の採用には世界のトップ企業も多く参加しています。時には優秀な学生を獲得しようと数千万円のオファー金額が積まれ、大きなニュースになることも。

世界がこぞってインド工科大学の採用に乗り出すのはなぜでしょうか?インド工科大学の学生を採用するメリットを解説します。

世界で活躍できる学生が採用できる

インド工科大学は世界第2位の人口を誇るインド国内から集まった、優秀さとモチベーションの高さを兼ね備えた学生の宝庫です。

インド政府教育省が発表するインド大学ランキングTop 10にインド工科大学は7校ランクインしています。

入学試験(JEE)は受験者100万人に対し、合格できるのはわずか1.6万人ほど。インド工科大学の入学試験は「世界で一番難しいテスト」と言われています。

地頭のよさや英語を話せることはもちろん、多民族・多言語であるインドの環境下で競ってきた彼らは世界で活躍できるポテンシャルをもっています。

そんな素質をもつインド工科大学の学生ですが、インド国内の給与水準は高くないため海外で働くことに非常に前向きです。人気のコンピュータサイエンス学部でも卒業後の年収は80万円~6,000万円まで、大きな差が生じるのが実情です。

つまり、日本の標準的な年収でも十分に採用のチャンスがあります。ASIA to JAPANがサポートしてきた日本企業では、これまで全企業で内定承諾を得ることができています。

ITに強い理系学生が採用できる

世界的にITエンジニアの不足が叫ばれますが、日本も例外ではありません。国内で少子化や理系学生の減少が顕著になっている今、インドからITに強い学生が採用できることは大きな魅力です。

コンピューターサイエンスの分野は、世界的に需要があり非常に年収が高いことから、インド工科大学で最も人気の学部です。

驚くことにコンピュータサイエンス以外の学部の学生も、自主的にITの勉強をしています。専門の勉強よりもITの学習を優先する学生もいるほどで、学部を問わずITに強い学生が多いです。

採用効率が良い

インド工科大学は1学年に16,000人の学生がいます。次項で詳しく解説しますが、インド工科大学の就職面接スケジュールは大学が管理しています。

面接の時期になると、16,000人という大きな母集団が一気に応募してくるため、採用効率が非常に良いです。

さらにインド工科大学の採用では仕組み上、面接から内定まで1日で完了することも珍しくありません。

内定辞退が少ない

インド工科大学では例年の辞退率は5~10%程度と、日本の学生と比べて内定辞退が少ないです。

大学が管理する就職面接の仕組みでは、面接期間中に学生は1社へのみ内定承諾します。そのため日本のように、内定をいくつももらって数週間後に辞退するといったことが起こりづらいです。

内定承諾から入社までの辞退も非常に少ないです。まれに3月ごろアメリカの大学の奨学金試験に合格し辞退が出るケースがあります。

 

インド工科大学(IIT)採用の基本ルール

インド工科大学の採用には、日本の採用とは異なる独自のルールがあります。まず押さえておきたい、面接の仕組みやルールについてお伝えします。

採用には「プレースメント」参加が必須

インド工科大学の学生を採用したい企業は、「プレースメント」と呼ばれる大学が主催する採用面接会に参加する必要があります。学生を学業に専念させるため、就職活動の期間やルールを厳密に管理する大学側の仕組みです。

プレースメントは毎年12月1日の深夜0時からスタートします。プレースメントの期間外や別ルートで学生にアプローチしたことが分かると、以降のプレースメントには参加できないというペナルティ措置が取られます。

プレースメント期間中に、企業は6時間程度の「スロット」1回が割り振られます。企業はその中で必ず面接を終了しなくてはいけません。2次面接、3次面接と面接を重ねる場合でも、必ず6時間の中でオファーを出す、というのがルールです。

オファーの承諾は即日、1社のみ

学生側は6時間のスロットが終わった段階で、即時決断をする必要があります。

  • オファーをもらった場合:承諾するorしない
  • 複数オファーをもらった場合:どの企業のオファーを承諾するか1社のみ決める

もしオファーをすべて断った場合は、その学生はそれ以降のプレースメントに参加できない仕組みです。そのため基本的には「オファーを出したらほぼ内定」という暗黙のルールができています。

学生は1度参加しオファーをもらうと翌日以降のプレースメントには参加できません。つまり、優秀な学生は自然と早い日程でいなくなってしまいます。

内定承諾のキーはCost to Company(CTC)

インド工科大学(IIT)で学生に内定を出すときにキーとなるのが、Cost to Company(会社がいくら自分にお金をかけるか)です。Cost to Companyはインド工科大学採用ではCTCと呼ばれています。

CTCは年収に加えてストックオプション、渡航費用、住宅補助費用など学生に対して支払うトータルのコストを指します。

インド工科大学の学生は、複数のオファーがあった場合CTCが高い企業の内定を承諾するのが一般的です。

つまり人気の学生を採用したい場合は、CTCを引き上げる必要があります。最優秀層の学生を採用するために数千万円のオファーが出ることも。インド工科大学の学生へは高額なオファーを出す必要がある…というイメージは、ここからきています。

実際には、数千万円のオファーを受けるのはほんの一握りの学生。日本企業の提示できる年収でも十分優秀な学生を採用可能です。

日本企業はインド工科大学用にCTCの見せ方を工夫したり、為替の状況に応じて選ぶ学生の層を調整したりといった戦略を立てる必要があります。

 

インド工科大学(IIT)採用のスケジュール

インド工科大学のプレースメントは曜日に関わらず、毎年12月1日から開催されます。インド時間の12月1日午前0時にスタートし、最初の4日間が採用のピークです。

プレースメントの仕組み上、優秀な学生からどんどん抜けていってしまうため、自社の獲得できる学生の層を見極め戦略的に参加する必要があります。

12月1日からのプレースメントから逆算して、企業の参加準備は9月から動き出す必要があります。

インド工科大学のWebサイトに登録したり、ジョブディスクリプションをプレースメント向けに最適化したり、採用成功のために綿密な準備が必要です。

初めてプレースメント参加するのであれば早めの8月から動き出すことをおすすめします。

 

インド工科大学(IIT)採用を成功に導くポイント

日本の採用事情とは大きく異なるインド工科大学の採用。ASIA to JAPANがこれまでプレースメントに参加してきた経験や現地のリアルな意見をもとに、成功に導くポイントを整理しました。

詳細なジョブディスクリプションを用意する

海外はジョブ型採用が主流でインドも同様です。日本式の「総合職」での募集は理解しづらいと感じられてしまいます。選考が進んで、学生に思った仕事と違うと感じられてしまうと双方ミスマッチで貴重な時間を失います。

インド工科大学の学生はジョブディスクリプションを詳細に見ています。

  • 入社して何ができるのか?
  • 自分のやりたいことや専門と合致しているのか?

上記が学生に分かるようにジョブディスクリプションを用意しましょう。

大学よりも学部を見る

インド工科大学は23校のカレッジがありますが、Old IITとNew IITに区別されます。

Old IIT(全7校)は歴史が古いトップ校、最優秀層が集まると広く知られています。間違いではありませんが、入学時に学生は大学名よりも学部を優先する傾向があります。たとえば、1番人気のコンピュータサイエンスはOld IIT、New IIT問わず人気で早々に定員が埋まります。

そのため優秀層を採用したいのであれば、特定のカレッジにこだわるのではなく学部を見て判断することをおすすめします。

参加の戦略を立てる

プレースメントの参加日程は過去の採用実績やCTCを基準に大学側が設定するため、企業は選ぶことができません。自社の面接参加日を予測しながら面接する学生を選ぶ、戦略立てが必要です。

闇雲に参加すると、参加できる日程に採用したい学生が既に内定を受けて残っていない、という可能性があります。

特にOld IITは欧米のトップ企業と戦えるCTCが必要なため、日本企業はあえてOld IITを避けるのも戦略のひとつです。

インドや世界の最新の動向をキャッチしておく

インド工科大学の採用は、インド情勢はもちろん世界各国の企業が参加するため世界の動向も見て、最終判断をしていく必要があります。

  • GAFAMが採用に消極的
  • インド国内企業が高額CTCを提示するようになってきた
  • 円安により日本企業のCTCが相対的に弱くなる

など、競合企業の動きによって学生から見た日本の位置付けは大きく変わります。

ASIA to JAPANは今後もインド工科大学採用に関する最新情報を発信していきます。情報収集中、採用を検討している企業様はぜひお気軽にASIA to JAPANへお問い合わせください。

 

インド工科大学(IIT)採用の最新動向

パンデミックや世界経済の影響を受け、インド工科大学のプレースメントを取り巻く状況も毎年変化があります。

2022年度のプレースメントの振り返りと2023年度のトレンド予測をお伝えします。

2022年度プレースメントの振り返り

2022年のプレースメントはパンデミックの混乱がおさまりつつあり、オフライン/オンラインで並行して開催されました。

不景気によりGAFAMの参加回数が少なめということもあり、採用人数やオファー金額が例年より伸びないと予測されていました。

しかし蓋を開けてみると、Old IITを中心にオファー金額や内定数は好調で過去最高を記録しました。

  • 外資系企業で過去最高6,000万円のオファー(ストックオプション含む)
  • インド国内企業で過去最高3,000万円のオファー(ストックオプション含む)

 

円安の影響を受け日本企業にとっては厳しい採用面接会になりました。提示する年収が目減しており、CTCを重視するインド採用では不利な状況でした。

そのため早期プレースメントに積極的に参加し、戦略的に進めました。その結果、ASIA to JAPANで支援させていただいた日本企業においては、次の通り過去最高の内定数を出すことができました。

  • 参加したプレースメント数:32
  • 参加したプレースメント校:23校(IIT全校)
  • 内定承諾者:136名

詳細は次の記事で詳しくご紹介しています。
過去最高6,000万円のオファー!インド工科大学採用面接会「IITプレースメント」速報(2022年)

2023年度のトレンド予測

2023年度のプレースメントは次のように開催されることを予測しています。

  • GAFAMの参加は2022年度に引き続き消極的
  • 為替状況が2022年度よりも日本にとって良い
  • オンライン/オフラインの並行開催

 

2022年度に比べると日本企業にとっては追い風となる見込みで、優秀な人材が採用できるチャンスです。

さらに12月のプレースメントに先行してNew IIT10校で「日本企業向け」の特別プレースメントJAPAN DAYを開催予定!

これまで以上に効率的にインド工科大学の学生を採用する準備が整っています。

 

インド工科大学(IIT)のプレースメント担当者2名に質問

1月23日に開催したセミナーでは、インド工科大学のプレースメント担当教授2名を招きパネルディスカッションを行いました。

  • インド工科大学インドール校 Apekshaさん
  • インド工科大学ジョイプール校 Puneetさん

 

2名にインド工科大学の学生について、人気職種や日本で働くことのリアルな意見をヒアリングしました。

インド工科大学(IIT)の学生に人気の職種は?

Apekshaさん(IITインドール):ソフトウェア開発が人気です。また製品開発・マネジメントなどの仕事に関わりたいという学生も多くいます。

Puneetさん(IITジョイプール):学生に人気の職種はコンピュータサイエンス、電気電子、機械です。会社からはソフトウェアエンジニアリングやアナリストの募集が多いです。

インド工科大学(IIT)の学生は日本で働くことについてどう考えている?

Apekshaさん(IITインドール):2022年からようやく日本の企業を「知る」段階に入ってきました。日本の企業をもっと知りたいという学生が増えてきています。一方で、やはり学生はCTCを重視しています。またパンデミックのこともあり家族の近くで働くことを重視する学生もいます。

Puneetさん(IITジョイプール):2022年のプレースメントでは日本企業から30以上のオファーがあったので、学生から日本企業への興味が集まっていきています。学生はCTCを重視するので、東京の生活費を考えると懸念事項になりそうです。

日本企業が優秀な学生を採用するには?

Apekshaさん(IITインドール):明確なジョブディスクリプションとCTCの提示が必要です。ジョブディスクリプションがしっかり書かれていないと学生はオファーをもらっても、判断に迷うことになります。また企業がプレゼンをする機会があれば日本での生活費やインドとの生活の違いを説明をするのが学生の興味をひくきっかけになると思います。

Puneetさん(IITジョイプール):日本の文化やインドと比べた東京での生活費をリアルに提示すれば、学生がより日本に興味をもつきっかけになると思います。

 

インド工科大学(IIT)採用ならASIA to JAPANへご相談ください

本記事ではインド工科大学(IIT)の採用について概要や戦略、日本企業が採用成功するためのポイントなどをお伝えしました。

インド工科大学で採用成功するためには、提示できるCTCに応じて自社の立ち位置を的確に予測し、戦略的にプレースメントに参加する必要があります

ASIA to JAPANでは日本企業が効率的に採用するための戦略として、New IITへの早期プレースメント参加をおすすめしています。2022年も戦略的に早期プレースメントを活用し、日本企業の採用成功につなぐことができました。

2023年度はNew IIT10校で日本への就業意思をもつ学生に特化した早期プレースメント「JAPAN DAY」を開催予定!

日本企業が効率的にインド工科大学採用を実現できる貴重な機会です。

ご興味のある企業様はぜひお早めにご相談ください。

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