2023年2月、JETRO(日本貿易振興機構)が行なったアンケート調査によると、外国人材を雇用する企業の割合は50%を超えました。外国人社員を受け入れる社員さまの中には、受け入れ対応の難しさを感じている人もいらっしゃるのではないでしょうか。
一方で、外国人社員側も異国の地で働くことに多くの悩みを抱えています。
ASIA to JAPANが日本企業で働く外国籍の方に聞いた、仕事上のストレスについてのアンケートで最も回答が多かったのは「上司や先輩など目上の方とのコミュニケーション」でした。
- 自分の仕事を上司に正確に伝えるのが難しい
- 本音か建前か、見極めるのが大変
- 自分の言いたいことを上手く表現できない時がある
- どういえばいいか分からず黙ってしまうことがある
- 最初の6か月は、仕事に関する用語や専門的な用語が多く、コミュニケーションは困難だった
など
本記事では、外国人社員受け入れで起こりやすいあるある3つと外国人社員と接するときに意識すること、多様性を活かした組織づくりのポイントをお伝えします。
ASIA to JAPANは日本で働きたいアジアのトップ学生と日本企業をつないでいます。企業さまからの声を受け、海外人材受け入れ研修までサポート可能となりました!
海外人材の採用や外国人社員受け入れサポートにご興味がある企業さまは、お気軽にご相談ください。
外国人社員の受け入れで起こりやすい3つの「あるある」
ASIA to JAPANは日本企業の海外人材の受け入れを支援してきました。
これまで多くの企業さまのお話を聞き、外国人社員の受け入れでは
・伝わったと思ったら伝わっていなかった
・文脈が伝わりにくい
・リモートワークが難しい
のような事態が起きやすいことがわかりました。
上記の「あるある」について、詳しくお伝えします。
伝わったと思ったら伝わっていなかった
外国人社員とのコミュニケーションで伝わったかの軽い確認をしたときに、「大丈夫/理解した」というリアクションがありました。
しかし、実際は指示や意図がきちんと伝わっていない、細かくは理解していなかったということがよく起きます。
ミーティングで理解できていない内容があったとしても、躊躇してしまい質問できないというケースもあります。
文脈が伝わりにくい
日本語はハイコンテクストな言語と言われ、言葉の背景で共有しているものの比重が大きいと言われています。日本で過ごしていると、何となく雰囲気や空気で理解しながら会話を進める場面を誰もが経験するのではないでしょうか?
日本企業で働く日本語ネイティブは、普段の何気ない会話や社内ツールなどから細かい情報を得ています。しかし、このような文脈を読むことは外国人社員にとって、ひとつのハードルです。
ふわっとしたタスクや背景の理解が必要なタスクは、外国人社員にとって難易度が高いと考えられます。
(関連記事)
日本語はハイコンテクストで外国人に分かりづらい?ビジネスで使えるコミュニケーション術4つ
リモートワークが難しい
コロナ禍、多くの職場でリモートワークが実施されるようになりました。
リモートワークでは
・指さしが使えない
・ボディランゲージが使えない
といった、オフラインのコミュニケーションと違いがあります。
入社したばかりの外国人社員は、リモートワークでの上記の「言語外の」コミュニケーションが使えない難しさを感じています。
指さしやボディランゲージは、日本語にハードルを抱える外国人社員にとって便利なコミュニケーション手段。言葉だけに依存するリモートワークではオフラインよりも丁寧なフォローが必要でしょう。
外国人社員と接するときに意識すること
紹介したあるあるな状況に上手く対応していくため、次のことを意識してみると双方のコミュケーションストレスを減らすことができます。
・正しく伝わったのか確認
・分かりやすい日本語を使う
・日本語を話しやすい雰囲気づくり
順番に解説します。
正しく伝わったのか確認
話が伝わったのかを、丁寧に確認します。単純に「今の会話、分かりましたか?」と聞くのではなく「今伝えた内容を、繰り返してもらえますか?」と相手の理解度を確認します。
分かりましたや大丈夫の度合いが人によって違うため、外国人社員からの「分かりました」「大丈夫」といった返事を鵜呑みにしないことも大切です。
また、外国人社員の発言を確認する場合「私は今、あなたが◯◯と言ったと理解していますが、合っていますか?」とニュアンスを確認します。毎回の確認は難しいですが、大事な場面や要点では有効な手段です。
分かりやすい日本語を使う
よく言われることですが日本語は、習得難易度が高いです。ひらがな、カタカナ、漢字から始まり、ビジネスシーンでは日常では使われない独特の言い回しも登場します。
外国人社員の中には、日本語学習に励み日本語が話せる人もいますが、仕事においてのコミュニケーションミスを減らすためには、なるべく分かりやすい日本語を使うことを意識しましょう。
・主語や文末を曖昧にしない
・カタカナ語は英語にする
・長い文章は避ける
・ネットスラングや略語を避ける
仕事上の会話では、文章や会話が切れ目なく長文となることも多く、求められる日本語レベルが高い上に経験値も必要です。文章はなるべく短く、要点のみを分かりやすく伝えましょう。
日本語を話しやすい雰囲気づくり
普段和やかに話しているのに、会議になると重い雰囲気で早口になる職場では、外国人社員が日本語を話すハードルも上がってしまいます。
次の点を意識すると、日本語での会話がしやすい雰囲気をつくることができます。
・ゆっくり話す
・相手が話すのを待つ時間を長めにする
・話を途中で遮らない
・相槌を意識的にする
社内のコミュニケーションに慣れるために、雑談用のチャンネルを用意してカジュアルな場で日本語のアウトプットをする障壁を下げることも有効です。
外国人社員のモチベーションを保つために、上手な日本語を使うことよりも必要なことを正しく伝えることが大切だと伝えておくと良いでしょう。
多様性を活かした組織づくりのポイント3つ
最後に日本企業のダイバーシティ推進をサポートするASIA to JAPANより、国籍・言葉・宗教・年齢など多様性を活かした組織づくりのポイントを3つご紹介します。
相手を知る
外国人社員を受け入れて、違いを感じる場面が多々出てきます。そんなとき、つい「○○出身だから…」と考えてしまうかもしれません。
しかし、その違いは本当に国籍・文化の違いによるものでしょうか?
国民性はある程度ありますが、固定観念やイメージにとらわれず個性を尊重していく姿勢が大切です。
相手の性格や思考の癖、パーソナルな部分を知ることで理解できることが増えるでしょう。
下記の記事では、外国人社員受け入れを積極的に進めるゴーリストさまにお話を伺いました。ゴーリスト取締役の菊池さまから教えていただいた「一人一人とコミュニケーションをとって向き合っていくということができれば、外国人社員の活躍につながると思います。」という言葉が印象的でした。
(参考記事)
社員の外国籍率約32%のゴーリスト様に聞く海外採用のきっかけ、気をつけたことは?
お互いの強みを知る
外国籍メンバーと受け入れ側のメンバー、それぞれがお互いの強みや得意なことをもっと理解しましょう。
特に、海外から日本へ就職に来るメンバーは、成長機会を欲しているハングリー精神の強い人も多いです。
単調なルーティーンワークでは見えない意外な一面があるかもしれません。業務だけではなく、業務外のカジュアルなコミュニケーションを深め相手の強みを見つけましょう。
社内でつながりをつくる
直属の上司やメンター以外の社内交流できるつながりは、多様性を活かした組織づくりにおすすめです。
仕事上のちょっとした悩みや上司に聞きづらいことをカジュアルに話せる人がいると、外国籍メンバーの安心につながります。
まずは雑談用のチャットでもいいですし、フリートークができる場を設けてもいいでしょう。
ASIA to JAPANは日本で働きたいアジアのトップ学生と日本企業をつないでいます。企業さまからの声を受け、海外人材受け入れ研修までサポート可能となりました!
■人事・受け入れ部門向けの研修
・外国人社員の出身国の特徴
・違いに対する向き合い方、超え方
・外国籍社員と接するときに意識すべきこと
など
■外国籍社員向けの研修
・海外で就職する、働くということ
・違いを知る、違いとの向き合い方
・日本企業の習慣と特徴
・外国籍の新入社員が苦労すること
など
海外人材の採用や外国人社員受け入れサポートにご興味がある企業さまは、お気軽にご相談ください。