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【日本での就活で約45%の就活生が重要視することは?】日本語を学ぶインドネシアの理系大学生“約100名”を対象に日本企業への就職についてアンケートを実施!

目次

ASIA to JAPANでは、インドネシアにて日本語を学ぶ理系就活生の約100名を対象に『日本企業・日本就職』についてアンケートを実施しました。
回答者は、バンドン工科大学、インドネシア大学などインドネシア国内の大学に在学する理系の就活生の方が中心となっています。
アンケート結果は以下の通りとなりました。


【1】アンケート実施概要

■対象者  : インドネシア国内の大学にて日本語を学ぶ理系就活生
■回答者数 : 94人
■実施時期 : 2022年10月〜11月

 

【2】回答者が就活を始めた時期

 

就活開始詳細:1年生/4人、2年生/5人、3年生/6人、4年生/42人、大学卒業後/37人 合計/94人

 

【3】就活で使用するツールについて

日本の就活生が、就職活動を行う際に企業の情報を得る手段として、対象の企業のホームページだけでなく、マイナビやリクナビなど「就職情報サイト」がよく利用されています。では、インドネシアの就活生が情報収集に使うツールは一体何か、アンケートを実施したところ、複数のサービスが上がりました。その中の、主だったサービスをいくつか紹介します。

■LinkedIn

LinkedInは、キャリアを進めようとしている人のためのプラットフォームで、いわゆるビジネスに特化したSNSです。ユーザーは、スキルや経歴を登録することで専門性を企業や雇用主にアピールします。また、企業は求めている人材を検索することで見つけ出すことができ、直接アプローチを行えます。そして、SNSならではのリアルタイムの情報発信を確認することができるため、情報収集ツールとして世界的に人気なサービスです。

■ Glassdoor

実際に働いている従業員や、元従業員が匿名で在籍する会社をレビューする情報サイトです。就活生は、志望する企業の生の声を確認することができるため、情報収集に活用されます。また、企業側も求める条件に適した候補者を募集し、長期で働いてくれる人材を雇用するために利用しています。

■ Jobstreet

アセアンを中心に展開する、オンライン求人サイトです。日本で展開する求人サイトと同様に、各企業が求人する募集要項や企業概要などを掲載しています。

■ glints

主にインドネシアとシンガポールを中心に求人情報を掲載しているサイトです。

多くの学生は、不特定多数の企業の情報を手に入れるべく上記のような就活情報サイトやSNSを利用しています。また、特定の企業情報を得る手段として、その他にも対象の企業のホームページや、検索エンジンにて企業名を記載し検索、また知り合いやOB・OGのような先輩から直接生の声を聞くなど、日本と同じような情報収集を行なっています。

 

【4】日本での就職を希望する理由について

対象の方々に、なぜ日本での就職を希望するのかとアンケートを行なったところ、以下の3つ点においてポジティブな回答が多く集まりました。

①日本の技術

最も多かった理由は、【日本の技術】についてです。「日本のIT産業は非常に高度で、日常生活のあらゆる場面で活用されています。ですから、私は自分自身で挑戦し、スキルを向上させ、知識を広げ、刺激的で革新的なプロジェクトに携わる機会を得たいと思います。」という回答や、「日本は技術の進歩に貢献できる素晴らしい国だと思います。」という、理系就活生の意欲を掻き立てるような環境が揃っている点が挙がりました。

②日本の文化

2つ目に上がった理由が【日本の文化】についてです。もちろん風景や情緒あふれる日本の文化に対しての意見もありましたが、今回は“日本人の特性”に関する理由が多数みられました。中でも、「日本には規律正しい労働文化があり、私の性格に合っているため、卒業後は日本で働きたいと思っています。」や、「日本人の規律正しさ、勤勉さ、礼儀正しさにいつも感心しています。」など、日本人ならではの習慣に対して数多く評価されています。

③日本企業の働き方

3つ目は、【日本企業の働き方】についてです。インドネシアの学生にとって「日本の労働文化は規律正しい」と認識されています。また、「プロセスを重視し、チームワークの意識が強い印象があります。」と、労働環境に対して魅力的であるという回答がありました。

 

【5】日本で就職するにあたっての心配点について

先程の意見では、ポジティブな回答が多く挙げられていましたが、一方で日本で就職するにあたって心配していることはないかアンケートしたところ、学生が抱える不安事項がいくつか明確化されました。特に多かった意見が以下の3点になります。

①長時間労働

日本国内でも健康状態へリスクが高まるとして問題視されており、労働基準法第32条で労働時間について、「1日8時間、週40時間」までと上限を定められています。しかし、一部のインドネシアの学生から「長時間労働の噂を聞いたことがあります。」や「日本の会社には“過労死”というものがあると聞いたことがあります。私の知る限り、過労死とは、過労のために人が死ぬことです。」という、労働時間に対するマイナスな回答が実際にありました。さらに企業による個人の評価方法として、「成果よりも労働時間を重視する文化があるため、従業員を酷使しても生産性の向上にはつながらないと複数の関係者から聞いています。」という、一部企業の情報が日本企業全体の印象と変わり、選択時の障害となりうる意見も挙がりました。

②社内の上下関係

日本では、目上を敬うという習慣があります。目上の方とコミュニケーションをする際、通常と異なる“尊敬語”、“謙譲語”、“丁寧語”と対象に合わせて言葉を使い分ける【敬語】を使う必要があります。日本人は義務教育の一環で学び、自然と使い分けることができますが、海外の学生にとっては至難の技です。実際の回答に「日本人の上下関係はやや厳しく、特に敬語の使い方は厳しい。」と、人間関係や言葉の壁を感じる意見が挙がりました。

③日本語中心の環境

多くの日本企業では、通常業務を全て日本語のみで完結いたします。また、他社とのコミュニケーションもほとんどが日本語のみとなります。②でも挙がった通り、「日本語で話すことは必須」という最低条件を超えなければいけない言語の壁を感じている学生も少なくありません。

以上の3点からも分かる通り、インドネシアの学生も日本での就活にあたり複数の不安を抱えています。
企業側は面接時に、面接官より労働環境について丁寧に説明を行うことで、学生の不安を解消させることが大切ではないかと考えます。
丁寧な対応こそが、学生の信頼を築くことができ、求める最良の人材を採用できる一つの手段ではないでしょうか。

 

【6】企業からのオファーを受諾する際の判断ポイントについて

ポイント詳細:仕事内容/42人、成長する可能性/23人、給与・福利厚生/21人、その他/8人 合計/94人

企業から採用のオファーを手にした学生が、受諾する際に判断基準とするポイントについてアンケートをとりました。すると45%と半分近くの割合で仕事内容を重視していることがわかりました。また、24%の学生は自身が成長する可能性を見出せる企業に、魅力を感じるとのことです。この回答より、企業側は学生に日々の業務や社の目標、就業することで得られる技術やノウハウについて、伝えていくことが多数応募に繋がる一つの要因となりうるのではないでしょうか。

 


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