7月10日に行われたJAC Recruitment主催の「インドビジネスセミナー」に、ASIAtoJAPANの代表・三瓶が登壇。『インド理系TOP大学の「採用方法」と「彼らが望んでいるものとは?」と題した講演の一部を紹介する。
インド最高峰の大学「IIT(インド工科大学)」学生と日本企業の終身雇用システムの相性は決して良くない。そこでASIAtoJAPANが新たに無料日本語学習プログラム「Study Go Work JAPAN」をスタートしたのが、プネ大学だ。アジアランキング188位と、大阪市立大学や東京理科大学と同ランクの大学。現地メディアに取り上げられるなど、プネでも注目を集めている取り組みだ。
「理系の学生に日本語の授業を2年間行い、日本語で面接ができるレベルを目指しています。学生は日本に招待し、日本企業を集めた面接会を実施。内定取得後も日本語学習を続けてもらい、入社時にはN2を目指すという取り組みです。企業の参加費は無料で、成功報酬。JR東日本やヤマハなどの企業にご活用いただいており、参加企業の75%がオファーを出しています」
プネ大学で行った日本語プログラム「Study Go Work JAPAN」の説明会には300名の学生が参加。以下はこの時に取ったアンケート結果だ。

「彼らが日本の会社に求めるものとして、上位に上がったのは『新しいスキルの習得』、『個人的な成長』。日本は機械・電気・化学の分野で進んでいるイメージがインド人にはあるので、そういった技術を身に付けたいという動機が多いのかと思います」
「日本で働くにあたって不安なことは?」という質問で注目すべきは、「特になし」が4割を占める点だ。

「私の所感ですが、インド人は結構強いです。日本国内で転職する人はいますが、一度日本に来てから嫌になってインドに帰る人は少ない印象です。西葛西近辺にはインド人学校もありますし、みんなで集まって楽しく暮らしていけているのかなと思います。ベジタリアンの人でも日本に来た半年後にはお肉を食べたりお酒を飲んでたりする方もいらっしゃいますし、きちっとベジタリアンを守っている方でも、社食にベジタリアン料理がなければ自分でお弁当を持ってくるなど、うまいことやっています。そんなに配慮はなくても大丈夫ですし、最初から整える必要はなく、様子を見ながら社内制度を調えるで十分だと思います」
IIT学生を採用する際に給与のミスマッチが生じると前回の記事で記載したが、プネ大学の学生に「日本で働く場合の希望年収」を尋ねた結果が以下。

「アンケートを取った学生は、この説明会で初めて日本での就職に興味を持った人たちです。日本に対する知識はほとんどなく、年収100万円以下でもいいという人が14%もいる。インドで働く場合の給料は日本円で年収80万円程度、結構いい会社に勤めて150万円といったところですから、『日本に来たら2倍以上にはなる』という感覚です」

「これならば、学力や技術レベルを担保しつつも日本企業の給与制度で収まりますので、インド人採用にご興味があればプネ大学から始めてみるのがいいかと思います」
ただし、安い年収で採用することは難しく、日本人と同程度の給与は最低限必要だ。インド人は年収をオープンにすることが普通であるため、友達の年収をほぼ全て知っている。自分の給与が低いことが分かったときに、転職に繋がってしまう可能性は高い。
また、日本企業がインド人採用がしやすくなってきている理由は2つある。1つ目は日本に旅行で来る人が増えており、SNSを通じて「日本はいいところ」というイメージがインドで広まりつつあること。2つ目はトランプ政権下で超トップ大学以外の学生がアメリカに行きにくくなったこと。これらが合わさった結果、新たに日本への就業が選択肢として浮上している。
「日本国内の新卒採用市場は厳しい状況にあります。今後グローバルで事業を展開する中で、英語が話せる日本人のエンジニアはなかなか採用ができない。それならば、日本語が話せる英語が堪能なインド人を採用した方がよほどいい人が採りやすいのではないかと思います」
1人採用すると、芋づる式にインド人が採用できるのも特徴だ。採用したインド人が大学時代の友達に会社のことを話し、興味を持った友達が応募に至るケースは珍しくない。
「まずは1名採用して、その人がいい思いをしていれば、インド人が継続的に採用できる可能性があります。我々の日本語プログラム『Study Go Work JAPAN』も1年目は登録者が50人ぐらいだったんですけど、その学生の半分以上が日本での就職が決まり、 そのことをFacebookにアップしたことで翌年の登録者数は約10倍になりました。インド人は長期でインターンシップをやっている人が多いので、新卒でも即戦力に近いレベルの学生も多くいます。日本人採用で苦戦して採用レベルを落とすぐらいであれば、ぜひインド人採用をご検討いただければと思います」