はじめに:今回のデータで押さえたい3つのポイント
厚生労働省が毎年公表する「外国人雇用状況」の届出状況まとめは、日本で雇用されている外国人労働者の動向を知るための基本的な資料です。最新の令和7年(2025年)10月末時点では、外国人労働者数が2,571,037人、外国人を雇用する事業所数が371,215所となり、いずれも届出が義務化された2007年以降で過去最多を更新しました。
技術・人文知識・国際業務(以下、技人国)での採用を検討する人事担当者に注目していただきたいのは、次の3点です。
- 外国人労働者数・雇用事業所数は、ともに過去最多を更新した
- 外国人労働者全体の増加率は低下した一方、技人国の増加率は上昇した
- 全体と技人国では、国籍別・産業別の構成が大きく異なる
本記事では、全体の動向と技人国の動向を分けて整理し、採用を検討する際のポイントを考えます。
出典:厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)
1.外国人労働者数・雇用事業所数の推移
| 時点 | 外国人労働者数 | 対前年増加率 | 雇用事業所数 | 対前年増加率 |
|---|---|---|---|---|
| 2025年10月末 | 2,571,037人 | 11.7% | 371,215所 | 8.5% |
| 2024年10月末 | 2,302,587人 | 12.4% | 342,087所 | 7.3% |
| 2023年10月末 | 2,048,675人 | 12.4% | 318,775所 | 6.7% |
外国人労働者数は前年から268,450人増加しました。増加率は12.4%から11.7%へ低下したものの、増加人数は前年(253,912人)を上回っており、増加の勢いそのものが弱まったわけではありません。
外国人を雇用する事業所数は29,128所増え、増加率は7.3%から8.5%へ上昇しました。外国人雇用が、より多くの職場に広がっていることがうかがえます。
2.在留資格別:技人国は46.8万人、増加率も上昇
| 在留資格の区分 | 2025年10月末 | 全体に占める割合 | 対前年増加率 |
|---|---|---|---|
| 専門的・技術的分野の在留資格 | 865,588人 | 33.7% | 20.4% |
| └ うち技人国 | 468,068人 | 18.2% | 13.8% |
| └ うち特定技能 | 286,225人 | 11.1% | 38.3% |
| 身分に基づく在留資格 | 645,590人 | 25.1% | 2.6% |
| 技能実習 | 499,394人 | 19.4% | 6.1% |
| 資格外活動 | 449,324人 | 17.5% | 12.8% |
| └ うち留学 | 352,791人 | 13.7% | 13.1% |
| 特定活動 | 111,074人 | 4.3% | 29.6% |
出典:厚生労働省・別添3「別表1」「参考-5」
技人国の5年間の推移
| 時点(各年10月末) | 技人国の外国人労働者数 | 対前年増加率 |
|---|---|---|
| 2025年 | 468,068人 | 13.8% |
| 2024年 | 411,261人 | 12.3% |
| 2023年 | 366,168人 | 14.8% |
| 2022年 | 318,850人 | 9.5% |
| 2021年 | 291,192人 | 3.1% |
技人国は前年から56,807人増え、2021年と比べると約1.6倍になりました。増加率13.8%は全体の11.7%を上回り、前年の12.3%からも1.5ポイント上昇しています。全体の伸びが落ち着く中で、技人国は伸びを強めている点が、今回のデータの大きな特徴です。
特定技能は38.3%増。ただし届出の仕組みに注意
特定技能は286,225人で、前年から79,230人(38.3%)増えました。なお、技能実習などから特定技能に移行しても、離職せず同じ事業主に引き続き雇用される場合は届出が不要なため、在留資格別の人数には変更後の資格が反映されない場合があります。
就労している留学生は35万人
資格外活動のうち、在留資格「留学」でアルバイトなどをしている人は352,791人(13.1%増)でした。JASSOの2025年度調査でも留学生数は408,069人と過去最多で、国内の留学生は増え続けています。
ただし、どちらも卒業予定者数や日本での就職希望者数を示す数字ではありません。JASSOの数字には日本語教育機関の学生も含まれます。国内留学生の採用を考える際は、在学段階・専攻・卒業時期を分けて確認しましょう。
関連記事:留学生数が過去最多の40万人超え。2025年度JASSO調査から読み解く、留学生採用のポイント
3.国籍別:全体と技人国では、顔ぶれが違う
| 国籍 | 2025年10月末 | 2024年10月末 | 対前年増加率 |
|---|---|---|---|
| ベトナム | 605,906人 | 570,708人 | 6.2% |
| 中国(香港・マカオ含む) | 431,949人 | 408,805人 | 5.7% |
| フィリピン | 260,869人 | 245,565人 | 6.2% |
| ネパール | 235,874人 | 187,657人 | 25.7% |
| インドネシア | 228,118人 | 169,539人 | 34.6% |
| ミャンマー | 163,311人 | 114,618人 | 42.5% |
| スリランカ | 50,427人 | 39,136人 | 28.9% |
出典:厚生労働省・別添3「参考-4」
外国人労働者全体では、ベトナム、中国、フィリピンの上位3か国は前年と変わりません。一方、ミャンマー(42.5%増)、インドネシア(34.6%増)、スリランカ(28.9%増)などが大きく伸びています。
しかし、技人国に絞ると、見え方は大きく変わります。
| 国籍(抜粋) | 外国人労働者全体 | うち技人国 | 技人国の割合 |
|---|---|---|---|
| 中国(香港・マカオ含む) | 431,949人 | 136,474人 | 31.6% |
| ベトナム | 605,906人 | 112,301人 | 18.5% |
| ネパール | 235,874人 | 43,249人 | 18.3% |
| 韓国 | 80,193人 | 30,656人 | 38.2% |
| インド | 31,636人 | 14,248人 | 45.0% |
| インドネシア | 228,118人 | 9,887人 | 4.3% |
出典:厚生労働省・別添3「別表1」
- 中国:全体ではベトナムに次ぐ2位ですが、技人国では136,474人で最多です。
- ネパール:全体では4位ですが、66.8%が資格外活動(うち留学48.4%)で、技人国は18.3%です。
- インド:全体では31,636人と多くありませんが、45.0%が技人国で、表の国の中で最も高い割合です。情報通信業で働く人の割合も18.0%と、主な国籍の中で最も高くなっています。
- インドネシア:全体では5位ですが、技能実習(52.6%)と特定技能(30.5%)が中心で、技人国は4.3%にとどまります。
全体の順位や伸び率だけで、技人国の採用対象国を判断することはできません。新卒採用では、候補となる大学・専攻、日本語教育の環境、日本での就職意向など、学生側の情報もあわせて確認しましょう。
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4.産業別・都道府県別・事業所規模別:自社に関係する内訳を確認する
産業別:情報通信業では外国人の3人に2人が技人国
外国人労働者全体では、製造業が24.7%で最多となり、サービス業(他に分類されないもの)15.2%、卸売業・小売業13.3%が続きます。増加率では医療・福祉が25.6%と最も高くなりました。
| 産業(抜粋) | 外国人労働者全体 | うち技人国 | 産業内の技人国の割合 |
|---|---|---|---|
| 製造業 | 635,075人 | 85,875人 | 13.5% |
| 卸売業、小売業 | 340,687人 | 80,732人 | 23.7% |
| サービス業(他に分類されないもの) | 391,946人 | 78,104人 | 19.9% |
| 情報通信業 | 97,924人 | 65,940人 | 67.3% |
| 建設業 | 206,468人 | 19,849人 | 9.6% |
出典:厚生労働省・別添3「別表6」
技人国の人数は製造業が最も多く、卸売業・小売業が続きます。一方、情報通信業では外国人労働者の約3人に2人(67.3%)が技人国です。なお、ここでの「産業」は勤務先の事業の分類で、職種ではありません。
都道府県別:技人国の4割強が東京に集中
外国人労働者数は東京652,251人、愛知249,076人、大阪208,051人の順に多くなっています。増加率では和歌山19.2%、大阪19.1%、大分・沖縄18.1%が上位で、雇用事業所数の増加率では佐賀19.8%、秋田14.8%、北海道13.5%が上位でした。
技人国に絞ると、東京が200,507人で全国の42.8%を占め、大阪47,874人、愛知35,252人、神奈川28,717人と続きます。自社の勤務地の状況は、別添3「別表3」の都道府県別・在留資格別の内訳で確認できます。
出典:厚生労働省・別添3「別表3」「参考-7」(技人国の東京の割合は公表値から算出)
事業所規模別:30人未満の事業所が6割超
外国人を雇用する事業所のうち、従業員30人未満の事業所は63.1%を占め、事業所数の増加率も9.6%と各規模の中で最も高くなりました。外国人雇用は、小規模な職場にも広がっています。なお、ここでの規模は企業全体ではなく事業所単位の数字です。
5.技人国で新卒採用を検討する人事担当者への示唆
ここまでのデータを踏まえ、自社の採用方針を考える際のポイントを3つ挙げます。
(1)採用したい職務を具体化する
最初に決めたいのは「どの国の学生を採るか」よりも、「どの仕事を任せるか」です。配属予定の業務、必要な専門知識、研修中と研修後の仕事内容を整理し、技人国で認められる活動に該当するかを確認します。専攻名だけで判断せず、履修内容や専門知識と業務の関係を説明できるようにしておくと、現場との採用要件のすり合わせにも役立ちます。
制度の確認:出入国在留管理庁・在留資格「技術・人文知識・国際業務」
(2)採用対象と必要条件を定義する
国内留学生と海外大学の学生では、接点の持ち方や卒業時期、入社までの準備が異なります。国内・海外のどちらを対象にするか、必要な専攻、卒業時期、業務上必要な日本語力、勤務地を具体化しましょう。
国籍別のデータで見たとおり、インドのように技人国の割合が高い国もあります。海外大学からの新卒採用も、採用対象を広げる選択肢の一つです。大学を調べる際は、ランキングだけでなく、採用したい専攻の教育内容や研究分野も確認することが大切です。
関連記事:THE世界大学ランキング2027を解説
(3)候補者が比較する選択肢を意識する
技人国で働く外国人も、外国人を雇用する事業所も増えています。候補者は複数の企業・職務・勤務地・待遇を比べているという前提で、自社が任せる仕事の内容と、入社後の支援を具体的に伝えることが重要です。採用活動の早期化や在学中の接点づくりも、対象学生の卒業時期や就職活動のスケジュールに合わせて設計しましょう。
6.2026年の技人国の制度変更と、統計を読む際の注意
カテゴリー3・4の企業は、2026年4月15日から追加書類が必要に
2026年(令和8年)4月15日以降の申請から、カテゴリー3・4に該当する所属機関は、次の書類を追加で提出する必要があります。
- 所属機関の代表者に関する申告書
- (主に言語能力を用いて対人業務等に従事する場合)業務で使う言語について、CEFR B2相当の能力を証明する資料
語学の資料が必要になるのは、申請職種が「翻訳・通訳」やホテルフロントなどの「接客」のように、言語能力を使う業務に主に従事する場合です。日本語については、次のいずれかに当てはまればB2相当とみなされます。
- JLPT N2以上を取得している
- BJTビジネス日本語能力テストで400点以上を取得している
- 中長期在留者として20年以上日本に在留している
- 日本の大学を卒業した、または日本の高等専門学校・専修学校の専門課程等を修了した
- 日本の義務教育を修了し、高等学校を卒業した
技人国で採用する全員に、一律でN2が求められるわけではありません。エンジニア職のように言語能力を主に使う対人業務でなければ、原則として提出は求められません(ただし、審査の中で提出を求められる場合はあります)。また、カテゴリーは従業員数ではなく前年分の源泉徴収税額などで決まるため、自社がどれに当たるかを確認しておきましょう。
出典:出入国在留管理庁・在留資格「技術・人文知識・国際業務」(2026年10月6日確認)
育成就労への移行後も、技能実習の人数は残る
育成就労制度は2027年4月1日に施行されます。施行後も経過措置により技能実習を続ける人がいるため、2027年以降の統計を読む際は、技能実習と育成就労の両方の動きや集計区分を確認する必要があります。次回の2026年10月末時点の統計は、施行前の数字です。
制度の詳細:出入国在留管理庁「育成就労制度の施行に伴う技能実習の経過措置について」
本統計で分かること・分からないこと
| 本統計から確認できること | 本統計だけでは判断できないこと |
|---|---|
| 届出上の外国人労働者数と雇用事業所数 | 新卒採用数・中途採用数、募集人数、採用難易度 |
| 国籍別・在留資格別・産業別などの人数と推移 | 卒業予定者数、就職希望者数、候補者の能力 |
| 事業所規模別の人数・事業所数 | 企業全体の規模、初めて外国人を採用した企業数 |
| 制度変更の前後における人数の動き | 制度変更が人数の増減に与えた影響(因果関係) |
本統計は、事業主による雇入れ・離職時の届出をもとにした10月末時点の集計です。特別永住者や、在留資格「外交」「公用」の人は届出の対象外です。また、離職を伴わない在留資格の変更は届出が不要なため、在留資格別の人数と実態に差が出る場合があります。
まとめ
令和7年(2025年)10月末時点の外国人雇用状況のポイントは、次のとおりです。
- 外国人労働者数は2,571,037人、雇用事業所数は371,215所で、ともに過去最多
- 技人国は468,068人で、増加率13.8%は全体(11.7%)を上回り、前年からも上昇
- 技人国では中国が最多。インドは労働者の45.0%が技人国と、専門職としての就労の割合が高い
- 2026年4月から、カテゴリー3・4の企業では技人国の申請書類が追加された
外国人労働者全体の構成を、そのまま技人国の新卒採用に当てはめることはできません。全体の動向を押さえたうえで、技人国の内訳、自社の募集職務、対象学生の専攻や就職意向を確認することが大切です。
本コラムでは、毎年の公表に合わせて人数と前年比を更新し、技人国の動向を継続して整理していきます。
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出典
- 厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)〔2026年1月30日公表〕
- 別添2「本文」
- 別添3「届出状況表一覧」〔別表1・3・6・8、参考-1・3・4・5・7〕
- JASSO「2025年度外国人留学生在籍状況調査結果」〔2025年5月1日時点〕
- 出入国在留管理庁・在留資格「技術・人文知識・国際業務」〔2026年10月6日確認〕
- 出入国在留管理庁「育成就労制度の施行に伴う技能実習の経過措置について」
※前年からの人数差、「約1.6倍」、各種の割合のうち公表値にないものは、公表値から算出しています。