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【インド人採用に必須の知識】インドの教育と就職事情を解説!

目次

 

1.基本事情と特徴

 

首都 ニューデリー
人口 13億6,641万人(2019年世銀資料)
中国に次いで世界で2番目に人口が多い。そのうちの半分以上が24歳以下となっており、2025年には15億人を超え、世界一人口が多い国になると予測されている。
言語 公用語はヒンディー語だが、他に憲法で公認されている州の言語が21ある。多言語国家であるため、新しい言語を学ぶことに慣れている人も多い。英語も準公用語として広く使われており、インドの大学では英語で授業が行われることが一般的。
宗教 ヒンドゥー教徒が79.8%を占める。

人口が多いインドでは幼少期から競争の中に置かれる機会が多数あるため、インド人はトップになりたいという思いが強く、できないことも「できる」と答えてしまう傾向にある。そのため無茶な納期の案件を受け、結果的に間に合わないことも。採用時の応募書類にも「できるであろうこと」が混じっていることが多々あるため、確認は念入りに行うことを推奨する。また、チームで協力して利益を分け合う習慣がないため、チームワークがやや苦手な人も少なくない。
日本には「多芸は無芸」ということわざがあるが、インドでは「多芸は有能」という考え方が強く、マルチタスクで仕事を行うのが好きな人が多い。上位大学出身者ほど新しい仕事へのチャレンジを望む傾向にあり、既存のプロセスに従いつつ、より効率の良いやり方を模索し、提案するのが得意。

 

2.教育事情

州によりやや異なるが、初等学校(プライマリー・スクール) に5年間、上級初等学校(アッパー・プライマリー・スクール)に3年間、中等学校(セカンダリー・スクール)に2年間、上級中等学校(シニア・セカンダリー・スクール)に2年間通うのが一般的で、義務教育期間は初等学校と上級初等学校の8年間。公立学校ではヒンディー語や各地域のローカル言語を中心に、私立学校では英語で授業が行われる。

大学進学率は28.06%で、インドの大学はカレッジ制であることが多く、大学の中に複数のカレッジが存在する。上級中等学校を卒業する際に受けるJEE(Joint Entrance Examination)という共通テストの結果によって進学する大学が決まるが、上位大学の場合は別途入学試験を行うことも。

就職のチャンスが多く、給料が高いこともあり、昔から成績優秀な子どもが目指す職業の一つがエンジニアとなっている。理系分野を専攻する学生は増加しており、国としても理系教育に力を入れているため、計算やロジックが得意な人が多い。特に国内トップ大学のインド工科大学(IIT) には、卒業生がエンジニアとして多方面で活躍していることから世界中の注目が集まる。

 

3.日本への関心と日本語環境

日本への関心は他のアジア各国と比べて薄いものの、人口が多いことから日本に興味を持つ人の総数自体は他国とさほど変わらない。日本は治安が良いイメージが強く、概ね印象は良い。
ただ、この章で紹介した各国・地域の中で日本語ができる学生の割合は最も少ない。日本語教師であってもN3レベルということも珍しくなく、日本語通訳の価格も最も高額。日本語を学ぶ環境が整っておらず、日本語を教える大学もほとんどない。日本語との親和性も低いため、面接を日本語でできるようになるまでに平均2年程度はかかる。

 

4.就職事情と仕事観

近年は景気が悪く、特に若年層の就職が難しい。過去には州当局の368人の採用枠に対して230万人もの応募が集まったことも。特にエンジニアの数が過剰になっており、卓越したスキルやコネがない限り大手企業への就職は狭き門となっている。「大学を卒業するエンジニア100人のうち、就職が決まるのは25人。その25人が残りの75人の面倒を見る」という冗談もあるくらい、競争は激しい。

国内がそのような状況であることから、海外に目を向ける人は増えている。英語が使えるため海外の就職先は潤沢であり、家族や親戚が国外で働いている割合も多いため、国境を越えて働くことへの抵抗はほとんどない。以前はアメリカが人気だったが、トランプ政権になって就労ビザの取得が難しくなった今、アメリカに就職できるのは超優秀層のごく一部であることから日本にも注目が集まりつつある。給与水準が高く、ここ10年でインドに進出する日本企業が増えたり、高速鉄道プロジェクトに日本の新幹線方式が採用されたりといったことから、インドでの日本の存在感が増していることが背景にあるようだ。特に機械や電気、電子系の学生にとって日本は憧れの対象になりやすく、IT人材の中にも給与水準が高い日本での就業を希望する人は一定数いる。日本語力を問わなければ、日本企業にとって採用のチャンスは大きい。

インドの大卒者の初任給平均額は4〜5万円程度だが、同じ新卒であっても年収数十万円から数百万円まで開きがあり、採用時に給与交渉をするのは当たり前。日本の場合は新卒一律給与で交渉の余地がないことが大半だが、そういった状況に対して疑問や不満を抱くインド人は多く、一方の日本企業側も給与交渉をされて戸惑うことが少なくない。これは価格交渉が当然である市場と価格が固定されている百貨店の違いのようなもので、両者とも前提が違うことをまずは理解する必要がある。

また、インド企業にはジョブローテーションの文化がなく、大学の専攻に関連した仕事に就き、専門的な経験を積んでいくのが一般的。インド人の転職理由で最も多いのは給与や待遇への不満だが、その次に多いのは仕事への不満であり、特に新卒者の場合は給与以上に仕事内容を重視する人が増えている。そのため、専門外の仕事に従事することに抵抗を感じる人は多く、ジョブローテーションに不安を感じる学生も。スキルの高い人ほど最先端技術を用いた仕事に従事して知識を深めたいと考える傾向にあるため、仕事に挑戦や新鮮さを感じられないことが退職リスクとなる。

その一方で、国内の就職率が低く、リストラの不安を抱えていることから、日本の終身雇用システムは人気がある。インドも残業が多いため、就業時間に関してのギャップがあまりないのも特徴だ。 ASIA to JAPANがプネ大学の学生171名に行ったアンケートでは「日本で働くにあたって不安なことは?」という質問に対して「特になし」と回答した人が4割を占めた。精神的にタフな人は多く、日本国内で転職することはあっても、日本が嫌になってインドに帰る人は少数。宗教上の理由から食事に制限がある人も多いが、それほど配慮がなくても自ら工夫するなど適応能力は高い。

 

5.主な大学

インド工科大学マドラス校(Indian Institute of Technology Madras/IIT Madras)

インド工科大学デリー校(Indian Institute of Technology Delhi/IIT Delhi)

インド工科大学ボンベイ校(Indian Institute of Technology Bombay/IIT Bombay)

インド工科大学ハイデラバード校(Indian Institute of Technology Hyderabad/IIT Hyderabad)

インド工科大学カラグプル校(Indian Institute of Technology Kharagpur/IIT Kharagpur)

インド工科大学カンプール校(Indian Institute of Technology Kanpur/IIT Kanpur)

インド工科大学ルールキー校(Indian Institute of Technology Roorkee/IIT Roorkee)

インド工科大学インドール校(Indian Institute of Technology Indore/IIT Indore)

インド工科大学グワハティー校(Indian Institute of Technology Guwahati/IIT Guwahati)

インド工科大学ダンバード校(Indian Institute of Technology Dhanbad/IIT Dhanbad)

インド工科大学マンディ校(Indian Institute of Technology Mandi/IIT Mandi)

プネ大学(Savitribai Phule Pune University)

クマラサミ工学大学(M. Kumarasamy College of Engineering)

クマラグル大学(Kumaraguru College of Technology)

アンナ大学(Anna University)

 

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