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東南アジアで第2位の日本語学習者のタイ|就職事情も解説!

目次

東南アジアで第2位の日本語学習者のタイ|就職事情も解説!

タイ人の日本語力とは

外国人材の採用をする際に気になる、日本語力。国によっても日本語教育が盛んかどうか、傾向が異なります。
この記事ではタイ人の日本語力を知っていただき、日本企業が採用する際に検討がしやすい情報を提供します。

タイの教育事情

日本と同様、小学校に6年間、中学校に3年間、高校に3年間、大学に4年間通うのが一般的です。小学校から中学校の9年間が義務教育となります。
中学、高校のほとんどは一貫教育で、中学校に進学する際に入試を受け、そのまま同じ高校に進む人が多いのが特徴です。

大学進学率はで50%前後で、タイの大学入試制度はThai university Central Admission System (TCAS)と呼ばれていて、以下の5通りに分かれています。

  1. ポートフォリオ
  2. クォータ
  3. 直接入試
  4. Admission
  5. Independent

受験しなければならない筆記試験は方法によって異なります。
タイの大学は5月に授業が終わり、10月に卒業式を迎えるのが一般的ですが、著名校は皇族から直接卒業証書を授与するため、皇族のスケジュールによって各大学の卒業証書授与式の日程が決定します。

つまり毎年卒業証書授与式の時期は変動し、大学によっては1月になることも。タイの大学に通う学生を採用する際は、毎年必ず卒業証書授与式の時期を確認する必要があります。

タイ人から見る日本への印象

多数の日本企業がタイに進出しており親日家も多いのが特徴です。ただし、日本語とタイ語は言語としての違いが大きいため、日本語習得の難易度は高いと言えるでしょう。

日本語学科の学生であっても卒業時のレベルはN3程度であることが珍しくなく、日系企業の数に対して日本語を話せるタイ人が不足しています。日本語ができるタイ人を探すというよりは、内定後に日本語研修を支援する、という考え方で採用を行う方が現実的です。

日本語学習状況の概要

2021年度海外日本語教育機関調査 によると、タイの日本語学習者数は約18万4000人と、東南アジアで第2位の規模です。

1960年代中頃に始まったタイの日本語教育は、当初はタマサート大学とチュラーロンコーン大学で行われ、その後は主にバンコクの総合大学で展開されました。1980年代には総合大学だけでなくラチャパット大学など各地域の大学でも日本語講座が広がり、2000年代にはタイ東北部のコンケン大学でも日本語教育プログラムが開始されました。

2021年のJFの機関調査によると、タイにおける日本語学習者は約18万4000人で、そのうち約8割が中等教育機関で学んでいます。
これは1981年に後期中等教育(高校)の第二外国語のひとつとして正式に日本語が加えられたことや、2001年の基礎教育カリキュラム改定によって前期中等教育でも日本語講座が可能になったこと、また2010年からは第二外国語の履修が文系だけではなく、理系も含めた全クラスで可能になったことによるものが大きく寄与しています。

また、2013年から2018年までの5年間でタイ教育省が特別枠で日本語教員200名を公務員として採用する方針を導入し、日本語教育の基盤を強化しています。

初等教育における日本語学習

初等教育では、まだ日本語教育の機関は少なく、外国語プログラムを持つ学校で小学校4年生から第二外国語として教えられています。

中等教育における日本語学習

中等教育では、1981年に後期中等教育学校で日本語が第二外国語に加えられ、2001年に基礎教育の新カリキュラムが発表され、日本語は「外国語科目」として位置づけられました。2010年にはWCSS(World-Class Standard School)が導入され、中高の日本語教育が大幅に拡大しました。

現在、日本語を教える国立中等教育機関は431機関で、学習者数は129,799名です。また、キャンプ事業やプロジェクトなどが実施され、教育の質的な向上が図られています。

高等教育における日本語学習

高等教育では、国立・私立大学を合わせて80以上の大学で日本語教育が行われています。国立大学のうち主専攻学科を持つのは29校、私立大学は7校です。コンケン大学は教育学部に日本語教育専攻課程を設置しています。2020年度時点で、国立ラチャパット大学のうち21校で日本語コースが開講されており、13校が主専攻コースを提供しています。修士課程や博士課程についても日本語教育が展開されています。

 

日本語能力試験の受験状況

令和5年7月の試験では、約1万2,000人の方が日本語能力試験を受験しました。バンコク、チェンマイ、ソンクラー、コンケン、ウボンラチャタニなどの都市で試験が実施されています。

令和5年第1回(7月)の受験者数データ(引用:日本語能力試験のHP

 

タイ人の就職事情と仕事観

国内で人気な就職先

就職活動は4年生の後期にあたる1月ごろから開始する人が多いが、特定の就職活動の時期はなく、卒業後にスタートすることも珍しくありません。仕事探しはリクルート会社にレジュメ送って選考を進めたり、大学のジョブフェアに参加したりするのが一般的です。

他に理系学部の場合は企業が直接大学を訪れてスカウトをしたり、共同研究をしている企業に就職したり、教授から企業に推薦してもらったりすることも。失業率は低く、有名な大学の学生が卒業後に就職先に困ることはほとんどありません。

就職先として人気があるのは国内の大企業。大企業ほどボーナスの条件が良く、中には年間で月給の8カ月分が支給される会社もあるほどです。初任給は1万5000〜2万バーツ、日本円にして約6万〜8万円程度ですが、ボーナス額が大きいため年収はそれなりの金額になることが多いのが特徴です。また、タイ国内で日本語ができる人材の需要は非常に高く、日本語が話せるだけで初任給は20万円前後に跳ね上がるケースも。就職後の給与やポジションは基本的に固定であり、キャリアや収入を上げるには転職をするしかないため、離職率は高い傾向にあります。

日本への就業に関する意識

タイは物価が安く生活がしやすい国で、起業や副業もしやすく、会社勤めであっても夜に屋台を出すといったことが気軽にできます。 家族と一緒にいたいという思いも強く、海外で働こうという動機は他のアジア各国と比べて弱いかもしれません。

日本語が生かせる職場が国内に潤沢にあることもあり、日本で就職する理由はなかなか見当たらないのが現状です。その一方で日本にオフィスを構える日本企業にとっても、日本語が話せるタイ人は採用したい人材であり引き合いは多いです。他のアジア各国の場合は文系学生の需要はそれほど高くないが、タイの場合は文系学生であっても国内需要が高く採用が難しくなっています。

(関連記事:「日本も日本人も好きだけど、働き方が心配……」タイのチュラロンコーン大学など3つの大学を視察しました

代表的な大学 

●チュラロンコーン大学(Chulalongkorn University)

関連記事:チュラロンコーン大学はどんな大学?入学から就職活動までのタイの教育制度とは

●コンケン大学(Khon Kaen University)

関連記事:タイの学生は我慢強い?タイ学生の特徴&就職事情 ~コンケン大学の先生にインタビュー~

●キングモンクット大学 ラッカバン校(King Mongkut’s Institute of Technology Ladkrabang)

●チェンマイ大学(Chiang Mai University)

 

日本におけるタイ人の数

在留タイ人の人口

出入国在留管理庁によると、2022年6月末地点で在留外国人は296万1,969人いますが、約5万4000人がタイ人で、割合は1.8%とあまり多くはありません。

引用:令和4年6月末現在における在留外国人数について(出入国在留管理庁)

タイ人労働者の人口

厚生労働省が2023年1月に報告した「外国人雇用状況」の届出状況まとめでは、前年の2022年10月の段階で外国人労働者数が1,822,725 人、前年比95,504人増加したと公表しました。タイ人の内訳の詳細は公表されていないため、以下図表の「その他」に分類されていると推測できます。

 

※厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和4年10月末現在)を参考にASIA to JAPANが作成

 

タイ人の採用成功事例の紹介

ここから先は弊社FAST OFFERを通じて日本企業への採用が決まった、タイ人学生の事例をご紹介します。

タイ人学生の採用事例1: エンジニアリングとデザイン専攻の学生

日本で5年以上暮らし、修士号と博士号のために勉強した学生。就職活動において、情報不足や手続きの難しさを感じ、友人の紹介でASIA to JAPANのプログラムを知り、参加。簡単な手続きでオンライン面接の機会を得て、2回の参加の末、日本のマハテン機器会社から内定をもらう。

詳細を見る:【内定者体験記】タイ チュラロンコン大学 エンジニアリングとデザイン

タイ人学生の採用事例2: 生物医科学の学生

家族が日本アニメのファンであり、日本文化に興味を持つ。日本の大学との交換留学プログラムに参加し、将来日本で過ごしたいと決意。日本語学習に取り組む中、FAST OFFER Internationalのプログラムに参加し、自信をつけることに成功した。面接が終わるまでASIA to JAPANのサポートがあり、医療機器を取り扱う日本企業に内定が決まる。

詳細を見る:【内定者体験日記】 タイ マヒドン大学 生物医科学

タイ人学生の採用事例3:機械工学の学生

子供の頃から日本のアニメやテレビ番組に触れ、日本の美しさと技術に惹かれ、日本で働くことが夢であったと語る学生。大学では機械工学を専攻し、3年生の時に『FAST OFFER』(旧サービス名 Study Go Work JAPAN)のプロジェクトに参加し、ビジネスで使用する日本語や面接練習等の就職活動の支援を受けた。4年生になり、オンラインでの面接を経て、最終的に日本の制御・計測機器メーカーから内定を獲得。

詳細を見る:【内定者体験日記】 タイ チュラロンコン大学 機械工学部

終わりに

いかがでしたか?
今回は、タイにおける日本語教育事情や仕事観、日本での就業状況についてお届けしました。

ASIA to JAPANでは、海外の主要大学と提携しており、現地大学内で年間を通して行う日本語学習などを通じて、海外の学生に日本への就職のきっかけを提供しています。 また、優秀な学生と企業とをオンライン・オフラインを通じて理想的なマッチングを実現いたします。就職決定後に、企業が必要なサポートを次々と充実させていくことで、双方のギャップを解消し、活躍するまで丁寧に支援しています。

外国人採用で不安な事がありましたら、気兼ねなくお問い合わせください。

【参考サイト】

国際交流基金 2021年度 海外日本語教育機関調査

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