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有名講師が教える、外国人内定者の日本語力を半年でレベルアップさせる6つのポイント

目次

人気日本語講師、笈川幸司先生に聞きました
4月入社まで残り半年を切りました。外国人内定者の日本語力を引き上げ、入社後スムーズに活躍をしてもらうにはどうしたらいいのでしょうか。

そこでASIAtoJAPANの「ビジネス日本語運用力アップ講座」の人気講師・笈川先生に、半年間で外国人内定者の日本語力をレベルアップさせるポイントを聞きました。


●お話を伺った方●

笈川幸司先生
笈川幸司先生

中国で日本語を学ぶ学生で、知らない人はいないと言われる 有名日本人講師。中国の複数の大学で客員教授として集中講義を受け持ち、これまで200名以上の日本語スピーチコン テスト優勝者を輩出。 『世界が尊敬する日本人100』(Newsweek2019年4 月)や『逆転人生「中国のカリスマ日本語教師 涙の青春スピーチ」』(NHK2019年10月)などメディアでも多数取り上げられるASIA to JAPAN内定者人気ナンバーワン講師
>>ASIA to JAPANの笈川先生による日本語授業はこちら

 

ポイント1. 日本語は「相手によって話し方が変わる」ことを理解させる

お客さま、上司、近い先輩、友達など、日本語は相手によって話し方が明確に変わります。

学校や内定者研修では、教科書に載っているワンパターンのフレーズを教えることがほとんどですが、例えば何かお願い事をするとき、「〜をお願いします」では、顧客に対してはカジュアルすぎて不快に思われるかもしれないし、友達からはよそよそしく思われてしまうかもしれません。

日本で友達ができないと悩む外国人は多いですが、「〜でよろしいでしょうか?」といった話し方では、距離を縮めるのは難しいですよね。

そこで重要なのが、「日本語は相手によって話し方が変わるのだ」という本人の理解。アンテナが立てば、話し方の違いに意識が向きます。

企業が外国人内定者に向けて日本語授業をしたり、日本語でコミュニケーションを取ったりする際も、キャラクターを使い分けることをお勧めします。

全方位に使えるからと敬語を使ってしまうことが多いですが、丁寧に話したり、フランクに接したりと、意識的に話し方を使い分けることで、外国人内定者はよりナチュラルな日本語を身に付けることができます。日本社会にも馴染みやすくなると思いますよ。

ポイント2. 失敗しても大丈夫なマインドをつくる

外国人内定者が何か失敗をしてしまったときの対処法を教えましょう。何かあった時に「まだ勉強中なので日本語が下手でごめんなさい」と言えるだけで、本人が日本語を話す安心感が違います。

特に外国語では事実をそのまま言うことが多く、学生によっては日本語の言い回しがストレートになりすぎて、日本人が聞くと失礼に感じてしまうことがあります。例えば日本人の感覚だと「学費は両親が払ってくれました」が自然ですが、外国人の場合は「両親が払いました」になってしまう。

こういう場合も、「ストレートに言いすぎてしまうことがあるので、失礼があったら申し訳ありません」と話をする前に言う癖をつけるなど、枕詞をうまく使えるといいですね。

ポイント3. 感じの良い聞き方を身に付ける

日本語でのコミュニケーションが完璧にできない分を補うために、相手の話を感じ良く聞くことが非常に重要です。大きく頷きながら、まずは聞く。

オンラインミーティングでミュートにして話を聞く際、無表情でリアクションがない人は多いですよね。だからこそ笑顔でうなずいているだけで好印象を与えられます。

そうやって感じの良い接し方を身につければ、褒められる回数が増えます。日本語への苦手意識がなくなり、モチベーション高く日本語を学ぶことができる。それこそが日本語が上手になる秘訣だと思います。

特にお勧めなのは、明るい声と表情でおうむ返しをすることです。一緒に練習し、上手くできたら褒めてあげてください。

ポイント4. 報連相を教える

入社前に、報連相の練習をしましょう。その際のポイントは、本題に入る前に「報告です」「連絡です」など、目的を伝える癖を付けること。勉強中の日本語で簡潔に意図を伝えるのは難しいですから。

相手も「相談なんだな」と目的がわかれば、そのつもりで話が聞けます。入社後に実践できるように準備しておくことで、上司とのコミュニケーションがグッとスムーズになると思います。

ポイント5. 現場で使えるフレーズで発音練習をする

「お世話になっております」「本日はご提案にまいりました」など、ビジネスの現場で使えそうなフレーズで発音練習をしましょう。

最初は「いいですね」「うれしいです」「面白いです」といった短いフレーズから始め、徐々に「本日はお忙しい中、お越しくださいまして誠にありがとうございます」といった長いセンテンスにしていく。これがスラスラ言えるようになると、自信がつきます。

なお、私の授業では落語の「寿限無」を練習したことがあります。スムーズに言えるようになると「申し訳ございません」などの短いフレーズが簡単に感じるようになる。そういう心理作用もありますね。

ポイント6. 発言の型を作る

例えば文章を読んだ感想を教えてほしいと言っても、話し方がわからなければできません。

そこで、「この文章を読み、複数の要点があると感じました。私は〇〇にポイントを絞って見解を述べたいと思います」という最初の一文を練習する。20回も音読していれば、空で言えるようになります。そこから自分の意見を話していく。

さらに、「そう思った理由は二つあります」と続ければ、より詳しく説明ができますよね。「私は〜〜と予想しました」「気になった文章は〜〜です」「この文章から私が学んだことは〜〜です」など、感想を話すのに使えるフレーズは他にもあります。

そして最後に「以上が私の考えです。ありがとうございました」でまとめれば、かなり長い感想が話せるようになるのです。

「面白いと思います。以上です。ありがとうございました」くらいの短い感想を話すことから始め、練習を重ねていけば、N3、N4の学生でも半年後にはまとまった発言ができるようになりますよ。

他に、上司への日報の型を作るのもいいと思います。「本日の反省点は2点です。1点目〜〜です。2点目は〜〜です」といった型を用意し、日本語レベルに応じて長くしていけば、入社後にすぐ役立ちます。

「褒められる→自信が付く→やる気が出る」の循環を意識して

これらを意識しながら日本語を勉強した学生たちは、半年後にはN1の学生より話すのが上手になります。

その理由は大きく二つ。一つ目は、嘘っぽさがないことだと思います。

他人を褒めたり、感想を話したりするトレーニングが少ないと、日本語は嘘っぽく聞こえます。私の生徒たちも、最初の1カ月ほどはみんな棒読みで、嘘っぽい。でも、そのまま2カ月ほど練習を重ねるうちに、言葉が自分のものになり、段々と自然になっていきます。

今はオンラインでやりとりすることも多いと思いますので、録画を取っておけば、成長も比較しやすいと思います。

そして二つ目が、自信です。

感じ良くコミュニケーションを取ることを意識すると、褒められます。褒められれば自信が付きますし、モチベーションも上がる。より日本語を積極的に話そうとするので、日本語力はどんどん上がります。

外国人内定者とコミュニケーションを取る際は、ぜひそんなサイクルを意識していただければと思います。


ASIA to JAPANでは笈川先生による内定者向け日本語授業を随時開講しております。
ぜひお気軽にお問い合わせください。


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