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【171名に聞いた!日本で働く外国人材へのアンケート結果】日本企業への就職前に外国人材が感じていること

目次

ASIA to JAPANでは、2023年7月に、現在日本に在住し日本で就業中の外国人材171名を対象にアンケートを実施しました。
前回は『国人材の日本語力について』と題し、アンケート結果をお伝えしましたが
この記事では『日本企業への就職前に外国人材が感じていること』を中心にお伝えしていきます。

アンケート概要・回答者プロフィール

アンケート概要

日本企業への就職前に外国人材が感じていること

日本企業で働きたい理由

外国人材はどのような理由から日本で働きたいと思っているのでしょうか。コロナ前の201910月に行ったアンケート結果では「日本の文化が好きだから」が1位でしたが、今回「日本の文化が好きだから」は3位であり、代わりに1位に浮上したのが「チャレンジしたかったから」となりました。

コロナ禍でおよそ3年間、海外はおろか外出すら思うようにできない時期が続いたことによる世界的な閉塞感が影響していると推測されます。 


また「日本の文化が好きだから」が減った背景には、コロナ禍で留学や旅行の機会がなくなり、来日経験がない人が増えたことも影響していると考えられます。ですが、
2022年から再び外国人材が日本に来られるようになり、現在訪日外国人が右肩上がりに増えていることを考えれば、この先外国人材の日本で働きたい理由は2019年のアンケート結果に回帰することが予想されます。 

日本企業に就職する前に不安に思っていたこと

続いて”日本企業に就職する前に不安に思っていたこと”を聞くと、最も多い回答は「自分の日本語が通じるか」(28%)でした。入社前の日本語学習の重要性については前回の記事で記載しましたが、それを裏付ける結果といえます。
前回の記事:【171名に聞いた!日本で働く外国人材へのアンケート結果】外国人材の日本語力について 


日本で働きたい理由として挙がった「チャレンジしたいから」のチャレンジには「日本での仕事」と「日本での生活」の二つの面がありますが、不安に感じることもまた「職場での対人関係」(22%)「生活習慣・文化の違いに馴染めるか」(19%)と続きます。

 

日本で働く前に知っておきたかったこと

ただし、着目すべきは「日本で働く前に知っておきたかったこと」を聞いた結果、最も多い回答が「特になし」だったことです。だからといって就業前のフォローが不要なわけではなく、外国人材の性格に左右されるところも大きいですが、企業側が心配するほど外国人材は不安に思っていないケースもあるのでしょう。

企業は万全な対応をしなければと気負いすぎず、日本語教育の提供や日本での各種手続きのサポートを行った上で、何かあったときに対応できる体制を用意しておけば最低限の準備としては十分と言えます。 

以下、その他の項目について具体的には何を知っておきたかったのか、それぞれ詳しく見ていきましょう。

■日本のビジネスマナーや仕事観など

フリーコメントには、報連相やビジネスマナー、上下関係など、日本ならではビジネス慣習に戸惑う声が多く見られました。仕事をスムーズに始めるためにも、最初に日本と海外の価値観や商習慣のおおよその違いについてレクチャーするのは重要だといえます。

また、「日本語でビジネスマナーの研修を受けたが、日本人の同期についていくのは難しかった。英語での研修もあればよかった」という意見もありました。外国人材の日本語力によっては、周囲からのフォローや英語対応の検討も必要です。


■日本での生活について

海外在住の外国人材にとって日本での就職は、単に「職場や仕事に慣れる」だけでなく、「日本の環境にれる」必要もあります。新卒入社であれば「初めての社会人生活」がさらに加わるのであり、日本人の就職と比較し、生活を軌道に乗せるまでの負担は大きいと言えます。来日当初、最も困ったことは何かという質問についても「生活に必要な手続きなど(役所/銀行口座/携帯)」が34%で最多という結果になりました。


 異国の地に移ったばかりのタイミングで、その国のシステムが分からず言語の壁もある中で、各種手続きをするハードルの高さは想像に難くありません。来日当初から日本での生活に慣れるまでの期間中、企業側のサポートは不可欠でしょう。そして、上記グラフの他の困りごとも含め、サポートは決して難しいことではなく、日本人であれば誰でも対応できるはずです。

他に、日本での生活について事前に知っておきたかったこととして、以下の回答が寄せられました。
各種手続きのほか、生活上の細かい違いや日本のルール、文化に戸惑う声が散見されます。
 


事前にこうした細かなニーズを把握しきれないからこそ、
「違いがある前提で、違いに直面した時にどうするか」を最初の研修でインストールすることが重要です。

同時に、問題に直面した時に気軽に質問、相談ができる体制を用意しておきたいところです。世話役となる同期やメンターを付ける、生活上の疑問を受け付けるチャットグループを作るなど、ちょっとした工夫で対応できるのではないでしょうか。
 

また、アンケート回答の中には「イメージがついているとより楽しく生活できると思う」という声もありました。生活の安定と職場での充実度は比例する部分も大きいので、仕事で早期に活躍をしてもらうためにも、日本での生活を気持ち良くスタートできるよう、慣れるまでの期間は手厚くサポートをしたいです。 

他に、「来日のタイミングに合わせてファイナンシャルサポートがもらえたらうれしい」というリクエストも寄せられました。住宅を借り、生活に必要な家具・家電をそろえるとなると、来日当初にまとまったお金が必要になるため、一時金を用意できると理想的です。実際に外国人材採用を行う企業の中には、海外から国を超えて日本に来ることを考慮し、外国人材にのみ一時金を支払う企業もあります。地方から上京する日本人にも同じ悩みがあるのであり、外国人材にだけそのような待遇をするのが難しい場合は、ボーナスや給与を先払いするなど、日本人社員と差が出ないやり方で工夫すると良いのではないでしょうか。 

なお、来日時の航空券代は当社顧客の9割以上が企業負担で、引っ越し費用も会社が負担するケースの方が多いです。


■求められる日本語レベルについて

前述したように、外国人材にも入社前にスムーズに仕事ができるように準備したいニーズがあることは頭に入れておきたいポイントです。

■一緒に働くメンバーについて

一緒に働くメンバーについて知っておきたかった理由には、「入社前にお互いのことを知っていればコミュニケーションが取りやすいから」「自分がチームの人からどのような期待をされているか理解しておきたかったから」「新卒がどのようにチーム内で働くのか、イメージを掴むことができると思う」といった意見が目立ちました。これらの要望は日本人の新卒であっても同様でしょう。

一方、外国人材ならではの理由としては、「外国人にとってメンバーを覚えて仲良くなるのは時間がかかるから」という声がありました。

日本語の名前に馴染みがないゆえに顔と名前を一致させるのが難しかったり、職場によっては外国人材が珍しい存在になってしまい、距離を縮めるのに時間がかかったりといったケースもあります。事前に顔合わせの機会をつくるほか、入社後に懇親の機会を設けるなど、コミュニケーションの場を意識的に設けることが早期立ち上がりのポイントの一つとなるでしょう。  

また、「他の外国人社員と事前につながることで仕事がより楽しくなると思う」という回答もあり、すでに社内に外国人メンバーがいるのであれば、事前に両者をつなぐのも有効でしょう。

 


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