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マレーシアの日本語教育や就職事情|日本の技術に興味やリスペクトを持つ背景は?

目次

マレーシアの日本語教育や就職事情について|日本の技術に興味やリスペクトを持つ背景は?

マレーシア人の日本語力とは

外国人材の採用をする際に気になる、日本語力。国によっても日本語教育が盛んかどうか、傾向が異なります。

この記事ではマレーシア人の日本語力を知っていただき、日本企業が採用する際に検討がしやすい情報を提供します。

マレーシアの教育事情

マレーシアの教育環境は、周辺国と比較して整っており、独自の進学システムがあります。

初等教育:6年間

中等教育:5年間

大学:3~4年間(技術系専攻は4年間が多い)

まず、日本の小学校にあたる初等教育が6年間、中学・高校にあたる中等教育が5年間あり、この11年間が義務教育期間となります。初等教育の6年目に全員が全国共通テストを受け、その結果によって進学先が決定します。その後、中等教育の3年目にも残り2年間の進路を決めるテストを受ける必要があり、そこで理系・文系のどちらに進むかが決定します。

さらに、中等教育が終了してから、大学入学までに半年から1年の準備期間があるのが特徴です。準備期間終了時に全国共通テストを受験し、この成績によって選べる大学や専攻が決まります。大学進学率は45.13%です。

マレーシア人から見る日本への印象

マレーシアにおいては、1981年、マハティール・ビン・モハマド首相が日本の集団主義と勤労倫理を学ぼうとする「ルックイースト政策(東方政策)」を掲げたこともあり、日本の人気は高いと言えます。親日国として、日本車の普及や日本企業とのビジネス上のコラボレーションが盛んに行われています。

マレーシアの大学には、日本で生活をした経験のある教授も多く、学生は質の高い日本語教育と正しい日本文化を学ぶことができるようです。よって、日本への留学を推奨する大学の動きもみられます。マレーシアの多言語国家である特徴から、新しい言語習得への抵抗感が少なく、特に中華系は中国語を使用できるため、日本語の習得も早いです。

日本語学習状況の概要 

2021年度海外日本語教育機関調査によると、マレーシアにおける日本語学習者数は38,000人います。

マレーシアにおける日本語教育は戦中の日本統治時代から始まり、南方特別留学生が日本に留学した経緯があります。戦後、1966年にマラヤ大学人文社会科学部で日本語講座が開講され、その後、他の大学でも日本語教育が広がりました。1982年にはマラヤ大学で日本留学予備教育課程がスタートし、1998年には同大学の言語学部に日本語専攻コースが設けられました。

その後も、1984年には全寮制中等学校で日本語が外国語選択科目として導入され、これに応じて日本語教師養成プログラムが1990年に開始されました。2005年には一般の中等学校でも日本語教育が広がり、更なる教員養成の必要性から、マレーシア教育省によりマレーシア国内で研修を行うプログラムが開始されました。

初等教育

インターナショナルスクールにおいて、日本語クラスが開講されています。

中等教育

1984年に、ルックイースト政策の一環として、ブミプトラ(マレー人およびその他のマレーシア先住民)の優秀な生徒を集めた全寮制中等学校において選択科目としての日本語教育が始まりました。2005年には、全日制中等学校でも開始されました。2023年1月現在、全寮制・全日制合わせて約130校において日本語が選択科目として教えられています。

高等教育

日本留学のための予備教育が、マラヤ大学予備教育センター日本留学特別コースをはじめとした4機関にて行われています。

そして、国立大学20校のうち、19校にて日本語教育が実施されています。

日本語能力試験の受験状況

令和5年7月の日本語能力試験では、応募者は2,419人、受験者は2,110人でした。クアラルンプールとペナンにおいて試験が実施されたようです。

令和5年第1回(7月)の受験者数データ(引用:日本語能力試験のHP

 

マレーシア人の就職事情と仕事観

マレーシアでは、一般的に就職活動を卒業後に行います。基本的には、大学内で開催されるジョブフェアに参加します。例として、マレーシア科学大学の場合、年に2回(3月、10月)ジョブフェアが開催され、在学生と卒業生が参加します。ジョブフェアの他にも、転職サイトの利用や、企業への直接の問い合わせ、学部や先輩の推薦という方法もあります。大学での専攻を活かした就職が難しい場合もあり、専攻と関係のない会社を選ぶことも珍しくないといいます。

就職後は、残業がほとんどなく、仕事量の多さを上司に訴えることも普通であり、日本の就業環境と異なるといえます。また、マレーシアでは就職後も家族と暮らすことが一般的です。

国内で人気な就職先

政府機関や大手企業、グローバルに活躍できる企業が人気のようです。マレーシアでは留学や海外勤務をする人が多く、海外での就業に抵抗のない人が多いです。国内では、転職しない限り役職も給与も上がらず、2年に一度の頻度で転職するのが一般的です。

日本への就業に関する意識

ルックイースト政策の影響もあり、日本の技術に興味やリスペクトを持つ度合いが他国よりも高い印象があります。

マレーシアにおける初任給は日本円で4万〜6万円程度であり、給与面において、日本での就職はメリットが大きいです。他にも、充実した福利厚生や研修制度、そして国の安全性も魅力に映っており、日本で長期的に働きたいと希望している人も多数います。

日本で働く場合、マレーシアは複数民族国家であることから異なる文化を受け入れる姿勢があるため、日本で、職場の輪を乱すような人は少ないといえます。

関連記事:マレーシア採用ポイントは「給与」と「グローバル」。マレーシア科学大学(USM)日本語研修クラスの学生に聞く、就職事情 

代表的な大学

●マラヤ大学(Universiti Malaya)

マレーシア初の大学として設立された国内最高峰の大学。日本語学科があり、卒業と同時にN1レベルを取得する学生も多くいます。日本語学習においてアジアトップクラスのレベルといえます。

関連記事:マレーシアの名門大学4校を訪問!高い日本就職内定率を誇る理由

●マレーシア工科大学(Universiti Teknologi Malaysia)

マレーシアのジョホールバルにある理系の歴史ある名門大学。マラヤ大学に次ぐ国内二位の大学で、アジアでもトップレベルとして知られています。マレーシア国内の日本語学習カリキュラムの監修をする先生がいることもあり、日本語学習も盛んです。

関連記事:マレーシア工科大学(Universiti Teknologi Malaysia/UTM)

●マレーシア科学大学(University of Science Malaysia)

マレーシア有数の理系分野に強い総合大学。マレー半島の西側に位置するペナン島にキャンパスを構えており、多様性に富んだ学生がいるのが特徴です。

関連記事:理系トップのマレーシア科学大学を訪問。説明会には理系女性も多数参加。

日本におけるマレーシア人の数

在留マレーシア人の人口

法務省の在留外国人統計によると、2022(令和4)年12月時点の在日マレーシア人は11,045人です。全体の約0.3%とそこまで多くはないことが分かります。

引用:令和4年末現在における在留外国人数について(出入国在留管理庁)

マレーシア人労働者の人口

厚生労働省が2023年1月に報告した「外国人雇用状況」の届出状況まとめでは、前年の2022年10月の段階で外国人労働者数が1,822,725 人、前年比95,504人増加したと公表しました。マレーシア人の内訳の詳細は公表されていないため、以下図表の「その他」に分類されていると推測できます。

※厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和4年10月末現在)を参考にASIA to JAPANが作成

マレーシア人の採用成功事例の紹介

ここから、弊社FAST OFFERを通じて日本企業への採用が決まったマレーシア人学生の事例をご紹介します。

マレーシア人学生の採用事例1:電気工学の学生

子供の頃にアニメをきっかけに日本への興味を持った学生。15歳から独学で日本語の勉強を始め、大学でも授業を取った。大学でFAST OFFERのプログラムを知り、幾度かの選考を重ね、日本の大手機械・自動車部品製造会社の研究開発部門から内定をもらう。

詳細を見る:【内定者体験記】マレーシア マレーシア工科大学 電気工学

マレーシア人学生の採用事例2:メカトロニクス・エンジニアリングの学生

アニメから日本の文化に興味を持ち始めた学生。マレーシアの日系企業での活用や、ネイティブとのコミュニケーションをすることを見据えて大学では日本語クラスを受講。FAST OFFERのことを知り、日本の就職に興味を持つ。面接が難しく、FAST OFFERの開催する日本語クラスやメンターセクションを積極的に活用し、日本のバネ機械・バネ設備製造メーカーから内定をもらう。

詳細を見る:【内定者体験記】マレーシア マレーシアサインズ大学 メカトロニクス・エンジニアリング

マレーシア人学生の採用事例3:電子システム工学の学生

日本のドラマや、学生時代の岩手県での滞在経験を機に、日本での就職に憧れるようになった学生。大学入学前の準備期間で、日本語を勉強し、N2を取得した。大学で先輩の紹介からFAST OFFERを知り、スタッフのサポートもあり、世界有数の農業機械メーカーから内定をもらう。

詳細を見る:【内定者体験記】マレーシア マレーシア工科大学 電子システム工学

終わりに

いかがでしたか?
今回は、マレーシアにおける日本語教育事情や仕事観、日本での就業状況についてお届けしました。

ASIA to JAPANでは、海外の主要大学と提携しており、現地大学内で年間を通して行う日本語学習などを通じて、海外の学生に日本への就職のきっかけを提供しています。 また、優秀な学生と企業とをオンライン・オフラインを通じて理想的なマッチングを実現いたします。就職決定後に、企業が必要なサポートを次々と充実させていくことで、双方のギャップを解消し、活躍するまで丁寧に支援しています。

外国人採用で不安な事がありましたら、気兼ねなくお問い合わせください。

【参考サイト】

国際交流基金 2021年度 海外日本語教育機関調査

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