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世界人口ランキング1位のインドでの日本語教育事情・就職事情とは?

目次

世界人口ランキング1位のインドでの日本語教育事情・就職事情とは?

インド人の日本語力とは

外国人材の採用をする際に気になる、日本語力。国によっても日本語教育が盛んかどうか、傾向が異なります。

この記事ではインド人の日本語力を知っていただき、日本企業が採用する際に検討がしやすい情報を提供します。

インドの教育事情

インドの教育事情は州によってやや異なりますが、初等学校(プライマリー・スクール)に5年間、上級初等学校(アッパー・プライマリー・スクール)に三年間、中等学校(セカンダリー・スクール)に2年間、上級中等学校(シニア・セカンダリー・スクール)に2年間通うのが一般的です。初等学校と上級初等学校の8年間が義務教育にあたります。公立高校ではヒンディー語や各地域の言語を中心に授業が行われますが、私立学校では英語で行われます。

大学進学率は30%弱です。上級中等学校を卒業する際に受けるJEE(Joint Entrance Examination)という共通テストの結果によって進学する大学が決まりますが、上位大学の場合は別途入学試験を行うこともあります。

インド人から見る日本への印象

日本への関心はほかのアジア諸国と比較して薄いですが、人口が多いため、総数に大差はありません。ただ、日本語教師であっても日本語能力試験N3レベルというケースもみられ、日本語通訳の価格も最も高額です。インドではヒンディー語を連邦公用語、英語を準公用語に規定していますが、州の言語や方言も幅広く、国民はヒンディー語・英語・州の言語を学ぶ必要があります。よって、日本語をはじめとした外国語を学ぶことが難しく、日本語を学ぶ環境があまり整備されていません。しかし、日本に対してのイメージは概ね良好であり、日本文化の人気もあるようです。

参考:インド(2022年度)国際交流基金

日本語学習状況の概要

2021年度海外日本語教育機関調査によると、インド人の日本語学習者数は約3万6000人でした。デリー、ムンバイ、プネ、チェンナイ、コルカタ、ベンガルールといった都市部を中心に日本語教育が行われていますが、地域差があり、都市とその近郊に学習者が集中している状況です。しかし、近年は工業団地で日系企業の誘致が盛んとなり、他の地域においても日本語教育のニーズは高まっていくと考えられます。

初等教育における日本語学習

単位として認められていませんが、独自に日本語授業を導入している教育機関もあります。

中等教育における日本語学習

2022年現在、デリー近郊の私立学校を中心とした約52校にて日本語教育が実施されています。必修科目・選択科目・ホビークラスの形式で実施され、機関ごとにその方針は異なります。なお、インドでは政府の政策により、中等教育の段階で3言語が必修となっており、ヒンディー語・英語・州の言語を学ぶ必要があります。デリー以外の地域では、ヒンディー語以外が母語であることが多く、日本語教育は積極的に導入されていません。

高等教育における日本語学習

2022年現在、日本関連の学位課程のある大学は8校あります。その他の機関では、選択科目や公開コースとして日本語を学ぶことができます。また、日系企業の進出により日本語のニーズが高まっていることから、私立の技術系大学等において日本語の授業が開講されるような動きも見られます。

日本語能力試験の受験状況

令和5年7月の日本語能力試験の受験者数は139,23人でした。タイやインドネシアと同程度の人数が受験していますが、人口の割合から見ると、そう多くないと言ってよい結果です。

令和5年第1回(7月)の受験者数データ(引用:日本語能力試験のHP

インド人の就職事情と仕事観

インドでは、近年の景気の悪さから、若年層の就職が難しくなっていています。過去には368人の採用枠に対し、230万人もの応募が集まった事例もありました。国内の状況から、海外での就職を目指す人も増えています。英語が使用でき、親族が国外で働く割合も高いため、海外での就職に抵抗がある人はあまりいません。

インドの就職事情には日本と異なる点がいくつかあります。一つ目は給与の交渉が行われる点です。インドの大卒者の初任給は平均して4~5万円ですが、同じ新卒でも年収に数十万から数百万の開きがあり、特徴として採用時に給与交渉が当たり前に行われます。二つ目は、ジョブローテーションの文化がない点です。インドでは、大学での専攻に関連した仕事に就き、経験を積んでいく形式が一般的です。よって、専門外の仕事も行うジョブローテーション制度に不安を感じる学生も少なくありません。

関連記事:インドの給与事情|中国を抜き、世界人口ランキング1位に君臨したインドの平均月収とは? | ASIA to JAPAN 

国内で人気な就職先

インドでは、昔からエンジニアが成績優秀な学生にとっての人気の職業です。理系分野を専攻とする学生が増えており、国としても理系教育を重視しているため、理系分野に秀でている学生が多いです。

日本への就業に関する意識

給与水準の高さや、日本企業のインド進出、高速鉄道プロジェクトでの日本の新幹線方式の採用などから、日本で働く選択肢にも注目が集まりつつあります。特に機械や電気、電子系の学生は日本に憧れを抱きやすく、またIT人材のなかにも給与面から日本での就職を希望する人もいます。

また、終身雇用システムも魅力的に感じるポイントとして挙げられています。国内の就職率が低く、リストラの不安を抱えていることも一因と考えられます。

代表的な大学

ここからは、インドの代表的な大学の一部をご紹介します。

●インド工科大学マドラス校(Indian Institute of Technology Madras/IIT Madras)

●インド工科大学デリー校(Indian Institute of Technology Delhi/IIT Delhi)

●インド工科大学ボンベイ校(Indian Institute of Technology Bombay/IIT Bombay)

●インド工科大学カンプール校(Indian Institute of Technology Kanpur/IIT Kanpur)

●インド工科大学カラグプル校(Indian Institute of Technology Kharagpur/IIT Kharagpur)

インド工科大学(Indian Institute of Technology)は、インド最高峰の理系大学で、省略して『IIT』とも呼ばれ、インド全土に23校、合計で約10万人の学生が在籍しています。なかでも、上記のOld IITと呼ばれるテクノロジー系名門5校への入学試験は「世界一難しいテスト」と言われるほど、人口の多いインドにおいて有名大学へ入学できる学生はほんの一握りしかいません。

●プネ大学(Savitribai Phule Pune University)

●クマラサミ工学大学(M. Kumarasamy College of Engineering)

●クマラグル大学(Kumaraguru College of Technology)

●アンナ大学(Anna University)

関連記事:インド政府教育省が発表するNIRF2021を解説

関連記事:2023年はどうなる?インド工科大学プレースメント最新動向

日本におけるインド人の数

在留インド人の人口

出入国在留管理庁によると、2022(令和4)年12月時点の在留インド人は43,886人です。全体の約1.4%の割合です。

 

引用:令和4年末現在における在留外国人数について(出入国在留管理庁)

インド人労働者の人口

厚生労働省が2023年1月に報告した「外国人雇用状況」の届出状況まとめでは、前年の2022年10月の段階で外国人労働者数が1,822,725 人、前年比95,504人増加したと公表しました。国籍別に人数を見ると、インド人は上位にはおらず、その他に含まれていることが分かります。人数は多くはないといえるでしょう。

※厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和4年10月末現在)を参考にASIA to JAPANが作成

インド人の採用成功事例の紹介

ここから先は弊社FAST OFFERを通じて日本企業への採用が決まった、インド人学生の事例をご紹介します。

インド人学生の採用事例1:機械工学の学生

日本のものづくりの技術や完璧さを追求する姿勢に感銘を受け、日本で働くことに興味を持った学生。友人を通じてFAST OFFERについて知り、日本語学習に励んだ。強い意志を持ち続けて挑んだ結果、電気計測器のメーカーから内定をもらう。

詳細を見る:【内定者体験日記】インド サビトリバイフールプネ大学 機械工学

インド人学生の採用事例2:電気工学の学生

事業内容への興味から、大学卒業後は日系企業のインドオフィスで働いていた学生。日本人の働き方に感銘を受け、日本で働くことに興味を持った。働きながら日本語能力を磨き、産業オートメーション分野の知識を活かせるコンポーネント製品、フィールド機器、自動調節弁を製造している会社から内定をもらう。

詳細を見る:【内定者体験日記】インド バナリアンマン工科大学 電気工学

インド人学生の採用事例3:コンピューターサイエンスの学生

日本の文化、働き方に興味を持ち、日本での就職を目指し始めた学生。大学の授業を通じて日本語を学び、日本へのオンライン留学も行った。LinkedIn経由でFAST OFFERを知り、面接会に参加し、日本の企業から内定をもらう。

詳細を見る:【内定者体験日記】インド マドラス大学 コンピューターサイエンス

終わりに

いかがでしたか?
今回は、インドにおける日本語教育事情や仕事観、日本での就業状況についてお届けしました。

ASIA to JAPANでは、海外の主要大学と提携しており、現地大学内で年間を通して行う日本語学習などを通じて、海外の学生に日本への就職のきっかけを提供しています。 また、優秀な学生と企業とをオンライン・オフラインを通じて理想的なマッチングを実現いたします。就職決定後に、企業が必要なサポートを次々と充実させていくことで、双方のギャップを解消し、活躍するまで丁寧に支援しています。

外国人採用で不安な事がありましたら、気兼ねなくお問い合わせください。

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